【虫歯】奥歯が失われてしまった場合、親知らずが残っていれば、奥歯の位置に移植できる。

矯正移植

奥歯が失われてしまって、利用できる親知らずが残っている場合、矯正治療(本格矯正および部分矯正)で親知らずを利用する方法があることは前に述べました。現在ではインプラントというものもあり、歯が無くなった時の治療のオプションが増えています。けれどもやはり人工物を体に埋め込むより、自分の歯を有効に利用した方が良いに決まっています。

ところが、親知らずを反対側の欠損部に持って行きたいとか、下の親知らずを上あごの欠損部位に持って行こうとすると、矯正治療では不可能です。このような場合は、移植という方法があります。

移植は自分の歯を有効に活用できる半面、成功率が矯正移動よりも劣るとか、歯の神経を取らなければならないことになる場合が多いとか、歯を削らなければならなくなることが多いとか、矯正移動よりもリスクが多くなります。ですのでもし親知らずを矯正移動で利用できるなら、当然そちらが優先となります。

歯の移植にはリスクが多いけれども、それでも自分の歯を利用できるということで、インプラントよりもはるかに有効な治療オプションとなります。移植の適応は慎重に検討すべきですが、僕は特に上顎に対する移植では、インプラントよりはるかにメリットが大きいと考えています。

移植の成功率を高める方法として、近年注目されているのが、「矯正移植」です。これはどういう方法かというと、移植に用いる歯にあらかじめ矯正力をかけ、歯根膜組織を増大させることで、移植後の歯の生着を高めるという方法です。

添付したレントゲン写真は僕が行った矯正移植の症例です。右下の親知らずを右上の第二大臼歯欠損部に移植しました。上から術前、移植直後、移植後4年となっています。移植直後では移植歯の周りに骨がなかったのが、4年後では十分な骨が再生されているのが分かります。また、健全な歯根膜腔も確認され、生理的動揺もあり、歯髄神経は生きていて、神経を取ることなく生着していることが分かります。

こういった移植を成功させるには、術前に十分な矯正力をかけ、大きな歯根膜組織を獲得しておく必要があります。この場合は3か月矯正力をかけました。それでも移植後神経を取らずに生着することは極めてまれなのですが、今回は患者が20代前半と若く、親知らずの根尖組織が未完成だったため、上手く生着したのだと思います。

このような治療技術は極めて高度であり、僕以外の大半の歯科医師には決してできない治療です。それでも高い技術を持つ人間というのはきちんと存在し、そこでは他の歯医者が救えない歯を救うことができるのですから、本当に自分の歯を大切にしたいなら、本物の技術を持つ歯医者にかかりましょう。

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