ココナッツオイルの約50%を占めるラウリン酸(C12)は、中鎖脂肪酸とよく言われているが、実はその特徴は長鎖脂肪酸である

「中鎖脂肪酸のまとめ」
○ココナッツオイルの約50%を占めるラウリン酸(C12)は、中鎖脂肪酸とよく言われているが、実はその特徴は長鎖脂肪酸である。(理由は下記)
○カプリン酸(C10)は、その吸収経路は門脈経由(中鎖脂肪酸の経路)はであるが、ミトコンドリアに運ばれるときは、カルニチンを必要としていることが判明している。つまり、長鎖脂肪酸に近い特徴を持つ。
○カプリル酸(C8)は、その吸収経路のほとんどが門脈経路であり、さらに、ミトコンドリアにおいてもカルニチンを必要としないため、中鎖脂肪酸と言ってよい。
○「ラウリン酸(C12)」はどちからといえば長鎖脂肪酸である、「カプリン酸(C10)」は長鎖と中鎖の特徴を併せ持つ、「カプリル酸(C8)」はほぼ中鎖脂肪酸である。
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【説明と理由】
中鎖脂肪酸の特徴として、
・消化吸収が早い
・エネルギー効率が良い
・カルニチンを必要としない
・体脂肪になりにくい
・脳のエネルギーになりやすい
・抗カンジダ効果・抗てんかん作用・抗炎症作用
などがあります。
一般的に代表的な中鎖脂肪酸といえば、
・カプリル酸(C8)
・カプリン酸(C10)
・ラウリン酸(C12)
が挙げられます。
ところが、
①ラウリン酸(C12)は、中鎖脂肪酸の効果を期待することはできません。
というのは、、
脂肪酸の吸収経路として、
短鎖・中鎖 → 門脈経由
長鎖 → リンパ管経由
という特徴がありますが、
ラウリン酸の吸収経路において、なんと、その81.7%がリンパ管経由でした(Mu H,2000)。これはほぼ長鎖脂肪酸の経路です。
アメリカ油化学協会誌(2015年版)でも、ラウリン酸(12:0)の約3割はリンパ管経由で吸収されていたことが報告されています。
他の研究でも、ラウリン酸はリンパ管経由が32.9%、門脈経由が7.5%というものもあります(Sigalet,1999)。
以上より、ラウリン酸は、これでは中鎖というよりはどちらかというと長鎖の性質です。
さらに、中鎖脂肪酸は「ミトコンドリアに運ばれるときはカルニチンを必要としない」という特徴がありますが、ラウリン酸はカルニチンを必要とすることが基礎研究でわかっています(Violante S, 2013)。
以上より、ラウリン酸は中鎖脂肪酸ではなく、どちらかというと長鎖脂肪酸となります。よって、ラウリン酸を約50%も占めるココナッツオイルは中鎖脂肪酸というよりは長鎖脂肪酸となるでしょう(カプリル酸やカプリン酸を合わせても12~15%程度しかない)。
②カプリン酸(C10)は、確かに門脈経路で吸収されることがほとんどのため、中鎖脂肪酸と言いたいところですが、これもカルニチンに依存していたことが分かりました(Epilepsia. 2017 Aug;58(8):1423-1429)。
よって、カプリン酸は長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸の特徴を併せ持つことから、半・長鎖&半・中鎖と言ったところでしょうか。
③カプリル酸(C8)はほぼ完全な中鎖です。つまり、吸収経路は門脈を経由しますので、吸収は早く、エネルギー化されるのも早いです。カルニチンも必要としません。
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では、一般のMCTオイルはカプリル酸(C8)とカプリン酸(C10)で組成されるが、以上より、カプリン酸(C10)が入っていない、カプリル酸(C8)のみのものが良いのではないか?となりそうですよね。
実際に、ご存じのように、カプリル酸(C8)のみの中鎖脂肪酸オイルも売っています。
しかし、カプリン酸(C10)も中鎖脂肪酸の特徴としての吸収効率が良いことや、カンジダに対する効果も非常に強力なため、やはり、私はカプリン酸(C10)も入ったMCTオイルをお勧めしています。
以上、中鎖脂肪酸のまとめでした。

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参照:https://www.facebook.com/nobunaga.yoshitomi/posts/1626931184153910

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