長生きしたければ病院に行くな

全国民必読 長生きしたければ病院に行くな  2010/7/21 週刊現代
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 拓殖大学学長で経済学者の渡辺利夫氏は、40代、50代の頃は年に1~2回、人間ドックを受けていた。だが、ある時ふと、そのおかしさに気がついたという。
 「検査で肺に異常な影があると言われたとします。その後、細いファイバースコープを飲まされて、生検があります。こうした検査自体が苦しいし、その予後はもっとつらい。結果が出て再検査、また生検をして、さらに結果を待つ。この間、生きた心地のしない時間を過ごして凄まじいストレスを受け続けるのです。年をとれば、検査で何らかの異常値は必ず出ます。症状もないのに検査によって病気を探り出すような愚かなことはやめようと決めたのです。やめれば穏やかな”身体感”に必ずや目覚めますよ」

 渡辺氏と同じように、早稲田大学教授の池田清彦氏(62歳、生物学)も「検査は不要」という信念がある。
 「40代の頃、初めて内視鏡で胃の検査を受けさせられ、50代でも便潜血検査で陽性だからというので、胃がんやら大腸がんの検診を受けさせられた。がんはなかったのですが、そういった検査そのもので体調を崩したんです。それで、いろいろと調べたり考えたりするうちに検査そのものにより懐疑的になって、一切受けなくなったわけです」

 日本では年間約34万人が「がん」で亡くなっている。それだけに、医学会や医療行政も、がんの早期発見、早期治療を至上命題に掲げ、一般的な健康診断から始まり、人間ドック、がん検診を奨励している。しかし、その常識は本当に正しいのか?

 医療統計学などの専門家で、新潟大学医学部教授(予防医療学)の岡田正彦氏はこう言い切る。
「じつはがん検診の効果を真っ向から否定するデータが存在するのです。結論から言えば、がん検診などの検査を定期的に受けても寿命は延びません。それどころか、寿命を縮めるという結果すら出ているのです」

 約20年前にチェコスロバキアで行われた、肺がん検診の実効性を調べるための大規模追跡調査。年2回の肺がん検診を3年続けて受けるグループと、検診を受けないグループに分けて観察した。3年間の観察終了後、その後の健康状態を調べるために、さらに3年間、両グループの人たちに年1回ずつの胸部レントゲン検査を受けてもらい、肺がんの発症率を調べた。結果は驚くべきものだった。
 「普通に考えれば、きちんと検査を受けてきたグループのほうが、肺がんになる割合も、死亡率も少なくなるはずです。ところが、結果は逆でした。検診を受けていたグループのほうが多く肺がんになり、より多くそれで死亡していたのです。それだけではありません。この調査では、あらゆる死亡原因に関するデータが集められていましたが、肺がん以外の病気で死亡した人も、検診を受けてきたグループのほうが明らかに増えていました。つまり、”肺がん検診を受けると寿命が短くなる”という結果になったのです」(前出・岡田氏)
 この調査結果は当初、多くの専門家の批判にさらされた。だが、同じ頃、アメリカを含む各国でも同様の大規模調査が行われ、まったく同じような結果が出たことで、大勢は決した。つまり、「肺がん検診を受けると寿命が短くなる」ことが、実証されたのだ。

 一方、日本では厚生労働省による調査結果が、マスメディアにも大々的に発表された。「毎年、肺がん検診を受けると、肺がんによる死亡率は半分になる」と報道されたのである。
 「この日本の調査は、検診を定期的に受けるグループと、受けないグループに分けて追跡調査を行ったものではありませんでした。肺がんで死亡した人が、過去3年間に検診を受けていたかどうかを調べただけの不完全なものであり、そもそも調査の目的が『肺がん検診の有効性を証明する』ものだったのです。毎年の肺がん検診で死亡率が半分になるというのは、明らかなウソです」(前出・岡田氏)

 肺がんだけではない。たとえば、日本人に多い胃がんについてもウソがまかり通っている。日本の専門家が胃がん検診の科学的根拠にあげているいくつかの調査データは、この肺がん検診についての調査と同じスタイルで行われたもの―岡田氏はそう断じるのだ。

 人間ドックの検査で特に問題視されるのは、レントゲン検査だ。当然、放射線の被曝線量は多くなる。
 「食道や胃の場合、人間ドックの被曝線量は通常のがん検診の4~5倍。胸部レントゲン検査と比べると、800倍前後にもなる。そのため人間ドックを毎年受けている人たちは、二次がんになりやすい」
「腫瘍にも種類があり、そのまま放っておいても進行しないものも数多くあります。ところがいまは、すぐさま強制的に切除などの治療に移る。治療前に悪性腫瘍かそうでないかを病理医が判定するのですが、じつは主観に頼る部分が多く、必ずしも科学的とは言えません。ですから、それが本当に必要な治療だったのかどうか、わからない部分があるのです」
 「エックス線による被曝や、薬の多投与など、現代医療の過剰な検査と治療により別の病気を起こしている現実があります。総合的に見れば、がんの早期発見、早期治療が人の一生の健康にとって絶対とは言えないのです」(岡田氏)

 病院は必死で異常を探す
 さらに、日本特有の”検査漬け”体質は病院経営と不可分に結びついている。
「日本はCTやMRIといった高度な診断装置を備えた病院が非常に多い。高価な機器なので、せっせと稼働させないと経営が立ち行かなくなる。そこで検査、検査となる」

 その結果、世界でも類を見ない・検査漬け・医療が横行しているというのだ。検査も治療も医者任せというのでは、かえって病気になる―そうアドバイスするのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師だ。
 「病院は見過ごしを一番怖がるので、とにかく必死で異常を見つけようとします。たいがいの場合、『異常な影がある』と、まず言われます。そこから精密検査になりますから、ふつうの人は、次の結果が出るまで不安でたまらない。また、過剰な投薬には注意してください。無駄な投薬は二次健康被害の可能性も生みますし、薬依存や薬漬けの恐れもある。まず必要なのは、生活指導です」

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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=361532

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