インフルエンザとビタミンD:ビタミンDは粘膜の再生や、細胞間の結合を接着させるタイトジャンクションに密接に関係しています

インフルエンザとビタミンD
インフルエンザ感染が流行る時期となりました。
冬になるとどうしても乾燥してきますので、私たちの粘膜組織も乾いてしまいます。この粘膜組織には生体防御をする免疫システムが待ち構えていますが、いつも湿っている状態でないと、簡単にウイルスや病原菌が侵入してくるのです。
6~15歳を対象にした、インフルエンザ感染とビタミンDの関係の面白い報告があります。6~15歳の子どもたちに12月~3月の間、毎日1,200IUのビタミンD3を投与した群と、プラセボ(偽薬)を投与した群に分けて調査しところ、ビタミンD3を投与した群の方がインフルエンザ罹患率が低かったのでした。
粘膜組織を正常化する代表的な栄養素はビタミンD、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛です。特にビタミンDは粘膜の再生や、細胞間の結合を接着させるタイトジャンクションに密接に関係しています(Tissue Barriers. 2013 Jan 1; 1(1))。
また、ビタミンDは感染予防の役割として、自然免疫であるマクロファージを活性化することが明らかになっています(Blood 82 : 1300-1307,1993)。
病原体がマクロファージにあるTLRと呼ばれる免疫スイッチを刺激すると、マクロファージ細胞内でビタミンD受容体(VDR)の発現が上昇します。そしてこの細胞内で同時にビタミンDを活性型にし、これがVDRと結合することで抗菌活性が発揮されます。この抗菌活性によりマクロファージは取り込んだ病原体をオートファジーによって分解するのです。
冬は夏に比べてどうしても肌の露出が少なく紫外線量も少ないため、ビタミンD不足・欠乏の状態になりやすくなります。
しかし、冬こそビタミンDを充足して、自然免疫を活性化することにより、インフルエンザなどの感染症の罹患リスクを低減させることが大切です。

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