新型コロナウイルスが要因となった倒産が、早くも全国で400件に達した。

リンク より引用

●負債総額は 2000億円超
8月3日、新型コロナウイルス関連倒産(負債1000万円未満および個人経営者も対象)が全国で400件に達した。負債総額は、2394億8500万円(調査中を除く385件の合計)。帝国データバンクが同日11時までに確認した。
「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが要因(主因または一要因)となった倒産のことで、その事実を当該企業または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となった倒産を指す。
感染拡大で業績の下方修正を発表する上場・大手企業が相次ぐ一方、緊急融資、税金や社会保険料の猶予、金融機関からの返済猶予など中小企業にはこれまでにない手厚い対応が実施されている。

●倒産の8割が 中小零細企業
まずは発生時期・態様・負債額別で見るとどうか。
法的整理日または事業停止日にあたる発生時期を見ると、月別では6月が121件(構成比30.3%)で最も多く、以下、4月(89件)、5月・7月(各86件)と続く。
6月の件数が目立っている要因としては「緊急事態宣言」がある程度の影響を及ぼしたと考える。

緊急事態宣言は、4月7日に東京など7都府県に初めて発令され、全国に拡大。5月25日までに全都道府県で解除されたが、宣言期間に入ったことで売り上げや集客が急激に落ち込み、法的整理申請または事業停止を決断。準備期間を経て、同期間中または解除後間もなく法的手続きを裁判所に申請、6月に入り手続き開始を認められた企業が増えたようだ。

次に態様別に見ると清算型(消滅型)の破産が298件、再建型(事業継続型)の民事再生法が30件、破産申請を前提とした事業停止が72件となっており、実に全体の92.5%が消滅する見通しとなっている。

一方、事業規模が比較的大きく、影響基盤があり、債務をカットすることで事業継続可能な再建型を選択する事業者が一部に限られていることが分かる。また、負債額別に見ると1億円未満が全体の37.9%、5億円未満だと全体の79.2%を占めていることからも大半が事業規模・基盤の小さな中小零細企業であることが分かる。

ちなみに負債額が最大となっているのは旅行業の(株)ホワイト・ベアー・ファミリー(大阪市、6月民事再生法)で約278億円。100億円を超える大型倒産は3件あり、その中には東証1部に上場していたアパレルメーカーの(株)レナウン(東京都港区、5月民事再生法、負債約138億7900万円)も含まれている。

●今後の注目は 食品関連事業者
最後に業種別で見ると、レストラン、居酒屋、バー、喫茶店などの飲食店(54件)とホテル・旅館(48件)の件数が突出する結果となっている。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請や緊急事態宣言に伴い「人の動きが止まった」ことで最も大きな影響を受けた3大業種が飲食店、ホテル・旅館、アパレル小売店だ。
飲食店は特に居酒屋やバーなど夜の3密を回避するために来客数が大きく減少。ホテル・旅館は、県をまたぐ移動の自粛が要請されるなかで多くが不要・不急の目的となる業種のため利用者が激減。アパレル小売店は在宅勤務の増加や入学式・卒業式、入社式をはじめとする式典や各種イベントの見送り、中止で衣類の需要が大幅に減少したためだ。
近時はアパレル小売店の勢いは緩やかになってきたものの、飲食店、ホテル・旅館の勢いは常に弱まることなく推移してきた。さらに最近の全国的な感染者数急増を勘案すると、同3業種を主体に倒産件数動向においても第2波的な動向が見られるようになってもおかしくはない。
そうしたなかで今後、3業種以外で注目しているのが食品関連事業者だ。食品卸(25件)、食品製造(19件)、食品小売(13件)を合わせると57件にも上る。食品は飲食店やホテル・旅館で提供される料理や土産品などにも使用されることから同2業種との関連性はとても深く、連動的に増加していく可能性が高い。

●コロナ感染の長期化で さらに深刻な事態も
これまで発生した新型コロナウイルス関連倒産400件の共通点がひとつある。それは新型コロナウイルスが倒産の「引き金」になったことだ。言い換えれば、どの事業者も新型コロナウイルスが発生する前から取引先への支払い遅延、銀行へリスケジュール要請、債務超過といった経営が厳しい状況に置かれ、新型コロナウイルスは倒産の「一要因」にすぎなかった。

新型コロナウイルス発生前までは順調な業績推移を見せていた事業者については、相応の蓄えがあり、また、緊急融資や銀行からの支援もスムーズに受けられるため倒産に至っていないのが現状といえる。
ただ、感染終息までの時間が長引けば長引くほど、新型コロナウイルスを「主要因」とする倒産とそれに伴う取引先の「連鎖倒産」が発生・増加する可能性が高まる。そうなると、これまで「点」であった新型コロナウイルスによる倒産の影響が「面」に変化し、国内経済をさらに悪化させる大きな要因になりうる。
また、感染終息までの時間が長引くほど注意しなくてはならないのが「経営者の士気の変化(低下)」だ。特に経営者一族の意向が強く反映される中小企業においては、周囲の予想に反して「見通しが立たないまま事業を続けても意味がない」「続ければ続けるだけ赤字が増える」と会社の資産劣化を最小限に抑えるためにもあえて事業継続を断念し、倒産や廃業を選択するケースが相次ぐことも予想される。
果たして新型コロナウイルス関連倒産は2020年にどれだけ発生し、2020年の全倒産件数の何パーセントを占めるのだろうか。引き続きその動向に大きな注目が集まっている。

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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=359322

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