今後20~40年以内に人類文明社会は90%の確率で崩壊する。理論物理学者が予測(英・チリ共同研究)

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これはもう、カウントダウンに入っている状態なのかもしれない。複雑系を専門とする2人の理論物理学者が導き出した結論はこうだ。

世界的な森林破壊によって今後20~40年で人類の文明は元に戻ることのできない、不可逆的な崩壊へいたる

『Scientific Reports』(5月6日付)に掲載された研究論文によれば、このまま森林を破壊し続ければ、21世紀前半のうちに、地球は膨れ上がった人口を支え続けることができなくなるという。

森林が完全に消え去るよりも前に、社会は崩壊すると予測
 論文では次のように述べられている。

このままいけば、すべての森林がおよそ100~200年後に消失するだろう。しかし、人間社会に森林破壊の影響が出始めるのが最後の木が切り倒されてからだなどという妄想は、明らかに非現実的なものだ

 森林が完全に消え去るよりも前に、社会は崩壊する。森林破壊によって、人間が地球上で生存するために不可欠な生命維持システムが影響を受けるからだ。

 炭素の貯蔵、酸素の生産、土壌の保持、水の循環調整、自然や食糧生産の基盤、無数の種の生息地など、その影響は多岐にわたる。

文明崩壊が回避される確率はわずか10%
 アラン・チューリング研究所(イギリス)のジェラルド・アキーノ氏とタラパカ大学(チリ)のマウロ・ボローニャ氏による研究は、人口の増加ならびに資源消費の指標としての森林破壊の現在のペースをモデル化し、文明がカタストロフを回避できる確率を計算したものだ。

 人間の文明が発達する以前、地球は6000万平方キロの森林によっておおわれていた。だがしかし、人間が木々を切り倒したせいで、今では4000万平方キロ未満にまで減少している。

 予測モデルによれば、不可逆的な文明崩壊まで数十年しか残されていない。「破局的な崩壊を迎えずに生存できる統計的確率は、非常に低い」という。もっとも楽観的なシナリオだった場合ですら、崩壊を回避できる確率は10%未満であるというのが、両氏の結論だ。

 このまま人口が増加し、その一方で森林が減少し続ければ、地球の環境収容力を超えてしまうときがくる。そのもう後戻りできない一線を越えれば、人口は急激かつ破滅的に減少し、やがて非常に少ない人口まで減少して安定するか、あるいは完全に絶滅する。

科学技術による打開策はあるか?
 本研究では、科学技術でカタストロフを回避できる見込みについても述べられている。

 そのために彼らが提案するのは「ダイソン球」だ。ダイソン球とは太陽をすっぽりおおってしまう卵の殻のような構造物のことで、その目的は膨大な太陽のエネルギーを吸収して利用することだ。

 何もそのような仮説上の巨大構造物を持ち出さずとも、同じようなエネルギーを得られるのなら、たとえば核融合でもいい。

 つまり、ここで言われているのは、現在の持続不能な人口増加と消費を維持するつもりなら、人類が生き残るために圧倒的な技術革新が必要になるということだ。

 これについて、「カルダシェフ・スケール」にそって考えてみよう。これは旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した文明の発達レベルを示す指標で、その基準になるのは文明が利用できるエネルギーだ。

 もしある文明の科学技術が、ダイソン球を建造し、それが属している恒星のエネルギーを完全に利用できるくらいにまで発達したとしたら、その文明は従来の資源の限界を超えることが可能になる。このレベルの文明は、カルダシェフ・スケールでは「タイプII文明」に分類される。

 だが、現時点で、人類の文明は、惑星のエネルギーすべてを利用できるレベルの「タイプI文明」にすら達していない。

この結果は宇宙人が見つからない理由を説明している
 研究で述べられているように、「科学技術レベルが高度になるほどに、森林の消費量も大きく」なるだろう。しかし、それと同時に「資源の利用はより効率的」にもなる。

 科学技術レベルが高度になれば、それによって生態系の崩壊を防ぐ打開策を考案することもできるかもしれない。あるいは、「最後の手段として、地球外宇宙で文明を再建」することもできるかもしれない。

 予測モデルでは、人口増加と森林破壊だけでなく、科学技術の発展をも組み込んで、文明の崩壊を回避できるような打開策が考案される可能性についても検討しているが、その見込みは高くなさそうだ。それに成功して、危機を回避できる確率は10%未満でしかない。

 なお、この結果は、これまでのところ地球以外のところで知的な生命体が見つからない理由を説明しているかもしれないという。

 予測モデルから推測するなら、知的な文明は、結局のところそれが興った惑星の資源を濫用し、この問題を克服できるくらいまで発達する前に、滅んでしまう傾向にあるということだ。

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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=359114

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