医療用N95マスクでもコロナウイルスは非常に小さいため完全に防ぐことは不可能。N95マスクの正しい着用法は、医療用テープでしっかりと隙間を封鎖しなければならない

フェイスシールドの意味
新型コロナ対策として、フェイスシールドをしている飲食店店員や医療関係者を見かけるようになりました。歯科でもフェイスシールドをして診療しているところがあるようです。フェイスシールドは感染対策として意味があるのでしょうか。
マスクの着用は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐのに効果があると、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)が推奨しています。マスクは感染拡大防止に効果的ではありますが、感染予防には効果的ではありません。
マスクを着用することで、着用者の呼気から出るウイルスを含んだ飛沫の拡散が効果的に抑制されます。その一方で、マスクはウイルスを含んだ空気を吸引する際に、ウイルスが体内に入り込むのを防いでくれません。なぜなら一般的なマスクおよび医療用マスクを装着していても、吸気の9割はマスクと顔の隙間から入ってくるから。
だから新型コロナウイルス流行初期に、マスクは(感染予防に)効果が無いから推奨しないと言われていたのです。医療用のN95マスクであっても、コロナウイルスは非常に小さいため完全に防ぐことは不可能とされています。そもそも、N95マスクの正しい着用法は、マスクと顔の間の隙間から空気が漏れないように、医療用テープでしっかりと隙間を封鎖しなければならないのです。
ですから、医療従事者が感染予防のためにマスクを着用するのであれば、N95マスクをテープでしっかりと目張りしたうえで装着し、それでも完全では無いと認識すべきなのです。逆にマスクに目張りをしないなら、N95である意味はありませんし、普通の使い捨てマスクで十分ということになります。
普通の使い捨てマスクおよび布マスクは、感染予防に効果は無いけど、感染拡大防止には効果があります。だからマスクは自分のためではなく、周囲の人のため、他者のためにつけるということ。マスク不要論を唱える人は、他者への思いやりというものが欠落している人間なのですね。
あ、そうそう、マスクの話ではなくて、フェイスシールドの話でしたね。でもフェイスシールドを考える時には、マスクの有効性と効果を知っておかなければなりません。
フェイスシールドやゴーグルは、目の粘膜、つまり結膜からのウイルス感染を防止するという役割を持っています。ところがフェイスシールドはシールドの上下左右が開いていますから、マスク同様感染予防には効果がなさそうに思われます。
しかしご安心を。目は吸気をして積極的にウイルスを取り込んだり、また呼気をして目から飛沫を出したりしません。ですから結膜からの感染を防ぐには、飛沫が直接目に入らないようにすれば良いのです。
ですから、フェイスシールドは飛沫が直接目に入る危険性がある場合には、ある程度は有効です。ところが新型コロナウイルスが目に入ってウイルス性結膜炎になる可能性はせいぜい3%程度と、決して高くはありません。それでもリスクがゼロではありませんから、フェイスガードはしないよりはした方が良いでしょう。
でも、飛沫が直接目に入らなければ良いのなら、何もフェイスシールドではなくゴーグルでも良いのでは?と思ったあなた、その通りです。むしろフェイスシールドよりも、花粉症用のゴーグルの方が飛沫を効果的に避けてくれそうです。
というわけで、フェイスシールドの効果に関してはその有効性を証明する論文は今のところ無いようです。つまり、気休めってこと。僕的には隙間の大きいフェイスシールドよりも、隙間の小さいゴーグルの方がより効果的だと考えます。
どちらにせよ、感染者と相対して何か処置するのであれば、ゴーグルやフェイスマスクよりも、マスクと顔の隙間から入り込んでくるウイルス入りの空気の方がよっぽど感染リスクが高いということ。ですから医療用マスクを目張りして使っているわけでも無いのにフェイスマスクをつけて、「ウチは感染対策をしっかりと行っています」なんてアピールしている歯医者があったら、おバカ丸出しの恥ずかしい奴だって思った方が良いですね。

ーーーーーー
参照:https://www.facebook.com/shukaku.nagao/posts/3159784527432763

シェアする

フォローする