腸内細菌に有用なのは「加熱した野菜」だけ?そこから考える人類が調理を始めた意味

以下引用(リンク
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□人類史になぜ「調理」が登場したのか?
9月30日の科学誌ネイチャーで、アメリカのハーバード大学の研究者たちの7年間にわたる研究結果が発表されていまして、それをご紹介したいと思います
その内容とは、生の食材と調理(加熱)された食材のそれぞれの腸内細菌環境に対する影響を調べた初めてとなる研究で、その結果、「加熱された野菜だけが、腸内細菌に良い影響を与える」ということが初めて突き止められたというものだったのです。
それどころか、生は、特に「生の野菜」には、「腸内細菌にダメージを与える抗菌化合物が含まれている」ことも判明したのです。
腸内細菌に関心のある方々には、なかなか興味深い内容だと思われ、最初は、ブログの記事にしようかとも思ったのですが、いろいろな食事法や食事療法の中には、「生の野菜を中心に食べる」というものもあることを知っていまして、そういうことを実践されている方々に悪いような気もしまして、こちらでご紹介させていただきます。
まずは、そのネイチャーの論文を記事にした、アメリカの科学メディアの記事を翻訳させていただきます。なお、この研究結果が重要なのは、その腸内細菌への影響がわかったということもありますが、「人類史に調理という文明が生まれた理由」にも結びつくことでもあるからです。
人間が過熱して食べ物を食べ始めて以来、腸内細菌は、どんどんと良い影響を受けて「変化」そして「進化」していったと考えられます。
腸内細菌環境が進化していけば、人間のほうも進化していくことになるはずで、つまり、「調理の登場」というのは、腸内細菌自身の進化と共に、「人類の肉体の進化と関係している」ことがわかるのです。
ここからです。

□腸内細菌にとって生野菜は良くない影響を与える
(9月30日のサイエンスデイリーより)
Cooking food alters the microbiome(リンク
「生の食材と加熱された食材は、それぞれ腸内微生物への影響が明確に違う」
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校とハーバード大学の科学者たちは、食物は、加熱調理することで、マウスにおいても、ヒトにおいても、その腸内微生物叢が根本的に変わることを初めて示した。(中略)
この研究で研究者たちは、以下のそれぞれの食物をマウスのグループに与えることにより、マウスの腸内微生物環境に影響が出るかどうかが調べられた。
・生の肉
・加熱調理済みの肉
・生のサツマイモ
・加熱調理済みのサツマイモ
調理により、栄養素や生物活性化合物が変化することがわかっているため、加熱が腸内微生物に影響を与えるかどうかを調べることになったのだ。
まずわかったことは、
・生肉
・加熱調理した肉
は、共に、マウスの腸内微生物に識別可能な影響を与えなかった。対照的に、
・生のサツマイモ
・加熱調理されたサツマイモ
は、マウスの微生物叢の組成、ならびに微生物の遺伝子活性のパターンおよびそれらが生産する生物学的に重要な代謝産物を著しく変化させた。(後略)

いろいろと書いてありますが、要点は、以下の3点だと思います。
・肉は生でも加熱しても、腸内細菌に良いも悪いも影響を与えない
・野菜は「加熱した」場合、腸内細菌環境に良い変化を与える
・野菜が「生」の場合、腸内微生物がダメージを受ける
すべての野菜ではないでしょうけれど、野菜というものは、生の状態だと、「強力な抗菌化合物」が含まれていて、それが腸内細菌を攻撃することになってしまうようです。
もちろん、野菜には生でなければとれない栄養素を含むものが多いことも事実で、なかなか難しい問題かもしれないですが、ただ、ここまで結果が明らかであるとするなら、少なくとも、「生野菜ばかり食べているのは良くない」ということは言えなくもないのかなと思います。
また、論文には、加熱した野菜は、腸内でより多くのカロリーを吸収するようになる、とあり、これは、要するに腸内細菌がより多くのカロリーを摂取していくれるという意味だと思われ、つまり、「生の野菜より、加熱した野菜を食べるほうがダイエットには良い」というようなことにもつながりそうです――。

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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=357736

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