過剰医療の実態 長生きしたかったら病院に行くな!の真相

下記,リンクより引用

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■過剰医療の実態
寿命を縮めるような無駄な医療、つまり「過剰医療」は大きく三つに分けられます。

(1)医療機器の過剰使用(over utilization):日本は諸外国と比べて圧倒的にCT保有数が多いことは有名です。日本は100万人あたり107.2台、他国の4倍近いCTを保有しています。(*2)そのため、日本人はCT検査を受ける機会が多いわけですが、一般的に、CT検査の被曝線量は胸部X線撮影の線量の600倍と言われ、CT検査によるがんの発生件数は約30,000件、その内の14,500件が死亡すると予想されています。(*3)

(2)薬の過剰投薬(over prescription):薬やサプリメントには相互作用があり、飲み合わせによっては思いもよらない有害事象に遭遇します。薬の見直しが正しく行われず、ある薬の副作用に対して別の薬が処方され、さらにその副作用に対処するために次の薬が処方される、という連鎖(処方のカスケード)が起きれば、飲み薬は雪だるま式に増えていきます。(*4)

(3)過剰治療(over treatment):検診などで様々な検査をすると、無害な「がんの疑い」を高い確率で見つけてしまいます。このような形で見つかった場合、そのほとんどが無害とわかっていても放置するわけにいきません。結局は手術やその一連で行われる抗がん剤治療を受けることになります。これが過剰医療ですが、これらによる副作用・合併症で命を落としたり命を縮めることがあるのです。

■過剰医療の“ゲートキーパー”
このような過剰医療を防ぐための監視役(ゲートキーパー)として、日本では“支払基金”が、アメリカでは各保険会社がその役割を果たします。医療機関への医療費の支払は全て科学的根拠に則ってその医療行為が行われたかどうかで支払われ、根拠のない診療にはお金は支払われません。例えば、筆者が海外旅行者を診療していて保険会社に必ず「MRIを撮る場合は事前にご一報ください」と言われます。なぜなら、保険会社にとってMRIは1回約2000ドル(約22万円)の出費になるそうで、MRIを安易に許可してしまうと保険会社が破産してしまうからです。

しかし、医療には倫理的側面、サービス業的側面があり、ゲートキーパーが画一的に検査や治療の基準を設けることができないジレンマがあります。

■過剰医療が起こる背景とジレンマ
(1)医療機関の営利目的:医療を行う医療機関も利益が上がらないと生活できません。営利目的が行き過ぎると、CTやMRI検査の乱用に代表される不要な検査が横行したり、診療報酬の高い医療行為をたくさん行い収入を増やそうとする医師が出てくることも必然です。

(2)患者さんのヘルスリテラシー不足:医師が提示する医療行為以上のことを患者さんが求める場合も多々あります。例えば、「午前中に風邪で他院を受診したけど、改善しない。抗生剤や解熱剤を出して欲しい」という理由で受診される方(ドクターショッピング)もいますし、「この薬とこの薬が欲しい」と指定してくる場合もあります。今の医療はサービス業的側面を無視できませんので、重大な副作用が懸念されない場合、希望通り薬を処方してしまう医師がほとんどです。

(3)防衛医療(defensive medicine):不必要な検査投薬の原因の一つに、医師の訴訟対策があります。例えば、頭痛の可能性として“クモ膜下出血”を見逃すと「見落とし」と判断され訴訟リスクを抱えることになるので、不必要とわかっていても頭痛患者全員に頭部CT検査を実施する医師もいます。

■「正しい医療」はない! 「自分にとって最善の医療」のために
先述の「検診をしても死亡率は変わらない」ということが示唆しているように、ただ闇雲に検診を受ける・病院を受診する行為は過剰医療の危険に身をさらすことになるかもしれないこと、そして、医学的に正しい医療行為があなたの健康を損なう恐れがあることを忘れてはいけません。また、検診を受けても、結果をどう役立てるのか、異常があるならそれをどれくらいで再検査するのか、医療機関に丸投げするのではなく、患者さん一人一人がヘルスリテラシーを持つ必要があります。ヘルスリテラシーを高めるためには、まず自分の知っている情報が「誰の立場から見た情報なのか?」考えることが重要です。そして、その情報を立体的に(複数の視点から)捉えるようにしましょう。例えば、「がん検診を受けましょう」というのは、あなたのリスクを見つけるものでもありますが、医療機関が追加の検査や治療に誘導するためのツールとも考えられます。また、「長生きしたかったら病院に行くな!」というのは過剰医療から身を守るためのメッセージでもありますが、これを鵜呑みにしすぎると、助かるはずの病気で命を落とす可能性もあります。万人に当てはまる「これが正しい!」という情報は絶対にありませんので、複数の視点から情報を捉え、自分で判断することが、「納得のいく医療」つまり「自分にとって最善の医療」を受ける秘訣になります。

以上、過剰医療を中心に本来あるべき医療との付き合い方を解説しました。「病院にかかっているから安心」「検診を受けているから安心」と考えるのは危険です。ヘルスリテラシーを高めることが「自分にとって最善の医療」を受ける秘訣です。まず、自分の知っている情報が「誰の立場から見た情報なのか?」考えることから始めましょう。

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参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=356961

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