【肥満 原因】肥満は遺伝するものなのか?環境的要因によるものなのか?

肥満は遺伝か環境か
太っている人の子どもが太っているのを見ると、肥満は遺伝すると思いがちです。しかしまた、痩せている人の子どもが太っていることもありますから、一概に遺伝とは言い切れません。兄弟でも太っていたり痩せていたりするので、肥満が遺伝か環境かを判断することは難しそうです。
ある報告では、275人の肥満患者の両親を調べると、そのおよそ3/4で両親のうち少なくともどちらか一方が肥満でした。これをみると、肥満は遺伝しそうです。
また、デンマークの研究によれば、養子は養育者の親の体型と、相関関係を認めなかったそうです。肥満が環境によって起こるのなら、親が肥満となる食生活を共にした子どもは肥満となり、親が肥満でない食生活によって育てられた子どもは肥満にならないように思えます。逆に生みの親の体型とは、非常に高い相関関係を認めます。
ヨーロッパでは、貧しい家庭に双子が生まれると、その一方を養子に出す習慣があります。そこで双子が一人は元の親元に置かれ、もう一人が養子に出された場合はどうなるでしょうか。スタンカード博士による1991年の研究によれば、双子の体型が同じになる(肥満同士または痩せ同士)確率は、およそ70%であると報告しています。
これは相当に高い確率であり、肥満が環境ではなく、遺伝であることを強く示唆しています。しかしもし肥満が遺伝なら、アメリカやヨーロッパなどで20世紀後半に急速に肥満が増加したことを説明できません。進化生物的観点からは、このような短期間で急速に肥満遺伝子(もしそういったものがあるのなら)が広範囲に広まるという説明がつかないのです。
実は、肥満が遺伝か環境かを考える場合、もう一つの可能性があります。双子(特に一卵性双生児)は遺伝的に同じ条件を持っています。そして養子の研究では、生活環境は共有していません。全く異なる生活環境(特に養子を迎える家庭は裕福な場合が多い)なのに、体型は非常に似通るのです。でも、こういった双子でも、遺伝子以外に共有しているものがあります。それは、「母体」です。
双子は生まれてくる前は同じ母親の子宮の中にいます。そんなこと、当たり前ですね。そして最近の研究で、妊娠時の母親の栄養状態が胎児に大きな影響を与えることが分かってきました。特に、母親が糖尿病であった場合、子どもが高い確率で生まれながらに高いインスリン抵抗性を持つことが分かりました。
妊娠中の母親がたとえ糖尿病を発症しなくても、甘い物をたくさん食べて低血糖症となり、インスリン抵抗性が増大すると、胎児のインスリン抵抗性も増大し、生まれた子どもは肥満や2型糖尿病になりやすくなるのです。そう、子どもの肥満(そしておそらく2型糖尿病も)は、遺伝子に組み込まれたものではなく、妊娠中の母親の食生活の結果なのです。
それを考えると、妊娠中の母親の食生活がいかに大切かがよく分かります。産科の宗田医師は妊婦にケトン食を推奨していますが、ケトン食(と糖質制限)は、妊娠中の母体を守るだけでなく、生まれてくる子どもの健康をもまた、守ることになるのですね。

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