海外ニュースやデータに触れている人にとって、日本の新型コロナ対応において政治不信は深まっているだろう。象徴的な1つは新型コロナの検査数にある。政府発表や記者会見での発言がまるで反映されていないからだ。
簡単に書くと次の通りになる。
・安倍首相は4月6日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、PCR検査の1日の実施数を現在の倍の2万件に増やすと表明した。
・ニューヨークのクオモ州知事は4月21日、トランプ大統領との電話会談で、ニューヨーク州のPCR検査の1日の実施数を現在の倍の4万件に増やすとした。そしてその結果は……
・日本全国の新型コロナ検査数:4月28日現在まで全国で1日1万件を超えたことなし。
・ニューヨーク州の新型コロナ検査数:3日後にこれまで1日の検査数が約2万件から4万件越え。ようするに日本の場合、政治家が言ったことと、その後の数字がまるで合わないのである。ただ、政府や閣僚が発言してもなんらかの事情でできない場合もある。だからといって、いま国民は謝罪を求めているわけではない。できなかった理由と、いつできるのかの説明を必要としているのだ。
ところが日本の閣僚たちは、新たな記者会見を開くたびに空疎で勇ましい発言をするだけに終わっている。国民からすると、まるでデタラメな戦局を伝える大本営発表を聞いているようになってしまっているのだ。
平時のように、「たまたまテレビで記者会見を見た」「たまたま新聞で読んだ」程度であれば、ごまかしも利くだろうが、いまは誰もが政府からの発信を気にしている時期だ。前回発言したことが数日経っても変わらないことを繰り返せば、どんなに優秀なスピンドクターがいても国民は騙されない。