世界全体で食品流通が崩壊しようとしている。そのような中、国連とWHOは世界的な食糧危機が「数週間以内に起きる可能性」を警告

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◆予想より早く食糧危機が到来した理由は「封鎖と移動の制限」
昨日、食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)、世界貿易機関(WTO)の 3つの国際機関の各事務局長が、

「各国が協調しなければ、食糧危機の発生を防ぐことができなくなる」

という共同声明を発表していました。それを取り上げていた海外の報道をご紹介したいと思います。現在、国境の封鎖や移動の制限により、農業は生産から流通までが「破壊」されつつあるよう。

記事をご紹介します。

●コロナウイルスの影響で世界は食糧危機に直面する可能性リンク
各国政府の当局者たちが、進行中の新型コロナウイルス危機を適切に管理できなかった場合、世界的な食糧不足が発生する可能性があることを 4月1日に、食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)、世界貿易機関(WTO)の 3つの国際機関の代表が警告した。

◆国際貿易、食品サプライチェーンの減速
各国政府の多くが、新型ウイルスの蔓延を遅らせるために、自国において国家封鎖あるいは都市封鎖(ロックダウン)の措置を実施している。しかし、これが、国際貿易と食物供給システム(サプライチェーン)における深刻な減速をもたらした。

一方、封鎖された都市で孤立した人々によるパニック買いは、多くの国でスーパーマーケットの棚を空にしており、どのような国であっても、すでに食糧サプライチェーンの脆弱性が示されている。国連食糧農業機関(FAO)長官の屈冬玉(チュー・ドンユィ)氏と、WHO 事務局長のテドロス・アダノム氏、そして世界貿易機関(WTO)事務局長のロベルト・アゼベド氏の三者は 4月1日に署名した共同文書で「食糧の入手可能性に関する不確実性は、輸出制限の波を引き起こし、世界市場に不足をもたらす可能性がある」と述べている。

そして、これはすでに具体的な状況となって現れている。たとえば、2007年の世界金融危機後、コメの大生産国であるインドとベトナムは、予想される価格上昇を防ぐために輸出を制限した。その結果、コメの価格が高騰したため、途上国のいくつかの地域では食糧暴動が発生した。そして、今、ベトナムはまたコメの輸出を禁止する法令に署名した。少なくとも、3月28日までは、ベトナムは海外へのコメの輸出を許可しない。また、小麦の主要輸出国であるカザフスタンは、3月初めにソバ、ライ麦粉、砂糖、ニンジン、ジャガイモの出荷を禁止した。現在、ロシアの当局者たちが小麦の輸出を制限しているため、国際機関のこの警告は、主にロシアに向けられている可能性がある。

◆食品のサプライチェーンを混乱させてはいけない
国際機関の共同声明は、「 COVID-19 の封鎖の中、特に食糧不足を回避するために、貿易が可能な限り自由に流れるようにあらゆる努力を払わなければならない」と述べている。共同声明は、「各国の国民の健康と福祉を保護するために行動するとき、各国は貿易関連の措置が食糧サプライチェーンを混乱させないないように行動するべきだ」と付け加えた。

封鎖対策と移動の制限は、長期的には、農業労働力が利用できないことと食品を市場に届けられないことにより、農業生産の混乱を引き起こすリスクがある。「農業や食品業界の労働者の移動の制限、食品容器の配達遅延の拡大などの混乱は、生鮮食品の腐敗や食品廃棄物の増加をもたらす」と 3人の事務局長は述べた。今回の国境の閉鎖は、主要国のいくつかの国で、作物を生産するために外国人労働者たちにどれだけ依存しているかを明らかにした。

◆危機の始まり
たとえば、アメリカは、現在、メキシコからの季節農場労働者の不足により、多くの作物の生産が危険にさらされている。西ヨーロッパでは、北アフリカと東ヨーロッパからの労働者の不在が同様の結果を生み出す可能性がある。これは、解決策がすぐに見つからない限り、深刻な事態を招く可能性がある。

食糧農業機関の上級エコノミストであるアブドルレザ・アッバシアン氏は「私たちはこの危機の始まりに立っているに過ぎません」と述べ、特に生産そのものより、輸送と物流の問題が大きいという。アッバシアン氏は、現在、インドの状況を注視している。全土の封鎖が、さらに 2週間にわたって続いた場合、何が起きるか。インドは、人口の規模が大きく、また輸出国としての重要な役割を持っており、今後のインドの状況は大きな影響を及ぼすと確信している。「農作物の収穫は、あと数週間内に始まります。その際において、農作物の流動的な動きが保証される必要があるのです」とアッバシアン氏は、電話インタビューで AFP に語った。

国連食糧農業機関、WHO、世界貿易機関の指導者たちはまた、多くの人たちの健康のために、食品の生産、加工、流通に従事する従業員を保護し、食品のサプライチェーンを維持する必要性を強調した。イタリアとフランスでは、スーパーのレジの人々の多くが新型コロナウイルスに感染し、それらの店舗では、スーパーの労働者たちを保護する手段と設備の不足に対してのストライキが行われた。

アメリカの上級階級向け食料スーパーマーケットの「ホールフーズ・マーケット」も営業の停止に直面している。ここ数年は、アメリカの国際協力が機転をみせ、ドナルド・トランプ大統領は国際協定や制度を利用し、貿易戦争をたびたび起こしている。しかし、国際機関のトップたちは、新型コロナウイルスと戦うための対策によってもたらされる食糧不足を回避するために、各国が協力する必要があると述べた。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=355454

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