千島学説の赤血球分化説、腸造血説を裏付ける観察結果

千島学説と現代医学の大きな差異は、血液の分化の順序と分化の段階別の機能にある。詳細は『赤血球に関する既成説と千島学説の相違点比較(リンク)』によるが、

千島学説では、赤血球がすべての細胞の元であり、それは白血球を経て各種体細胞に分化する細胞前の段階であり、具体的には、円盤型→球型→集合→融合→核形成→白血球→細胞のように進化していくとしている。更に細かく見ていくと、造血器官は、胎児の段階では卵黄嚢→胎盤→腸絨毛、そして生後は腸絨毛と、生涯連続した造血器官の論理を、緻密な観測の結果から作り出している。

他方、現代医学では、胎児の段階では卵黄嚢→胎盤→肝臓、生後は骨髄というように、胎児と出生後では、まったく異なる器官で造血されるという矛盾に満ちた論理になっている。これは、胎児やその前段階のニワトリなどの卵の観察結果と、それに矛盾した絶食状況にしたニワトリの骨髄に赤血球があったという幼稚きわまりない実験とを無理やり整合させるためのできた理論なのだろう。

しかし、この不整合は科学者の間でも議論はあり、今までは、胎児段階は一次造血、出生後は二次造血として種類が違うのだという論理で整合させようとしていたが、意見が分かれるところであった。しかし、以下の引用からは、二次造血は一次造血由来である=一次造血と二次造血はつながっているという観測結果が発表された。

ちなみに、一次造血とは、ニワトリの栄養分である黄身の上に赤血球がまず現れ、そこから胚が成長していく現象で、身体の発生起点の胚の発生より、赤血球の方が先にできているという、誰でも観察できる現象である。

こうなると、赤血球がすべての細胞のもとになり、最終的には腸で造血するという千島学説の正当性はますます高まってきたのではないか?

以下引用
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血液は体の外からやってきた
独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター
2007年3月28日

血液は体の外からやってきた(リンク

血液の発生起源を辿るとどこに行き着くのか――。これは長い間研究者の間で意見の分かれる問題だった。

造血には2つの段階が知られ、一つは、発生初期に胚体外の卵黄嚢と呼ばれる組織で起こり、胚に一時的に血液を供給する「一次造血」、もう一つは、胚のAGM(aorta-gonad-mesonephros)と呼ばれる組織で起こり、生涯にわたって血液を供給する「二次造血」だ。しかし、二次造血を行う細胞がどこから来たのか、さらに言えば、卵黄嚢に由来するのか否かは、これまで明らかでなかった。血液形成のメカニズムを突き止めることは、発生生物学的に重要であると同時に、造血幹細胞の誘導法確立や試験管内造血といった応用の可能性も秘めている。

理研CDBのIgor Samokhvalov研究員(幹細胞研究グループ、西川伸一グループディレクター)らは、マウス胚を用いて生体内の細胞を追跡する実験を行い、卵黄嚢にある造血細胞が二次造血にも寄与していることを明らかにした。近年のin vitro(試験管内)研究では、二次造血は一次造血と独立して起こることが示されていたが、それを覆す結果となった。この研究は、英国の科学誌Natureに3月21日付けでオンライン先行発表された。
(中略)
彼らの結果は、卵黄嚢にある造血細胞の一部が胚そのものへと移動していることを示していた。Samokhvalov研究員は、「発生9.5日目頃には細胞運命が決定しているようだ。一部の細胞は胚の血管内皮へ移動して造血幹細胞として働き、別の細胞は肝臓へと移動して赤血球を形成する。各部位にたどり着く頃には完全に運命が決まっているはずだ」、と説明する。卵黄嚢に由来する造血細胞が、二次造血において赤血球および白血球の両方を形成することが示されたが、一方で、卵黄嚢の血管形成には寄与していないことがわかった。この結果は、内皮系と血液系への分化が、こまで考えられていたより早い段階で起きていることを示唆していた。

今回の研究は、卵黄嚢にある一次造血細胞が、胚における後の二次造血にも寄与していることを明らかにした。「卵黄嚢の造血細胞が二次造血に機能していることは確かだ。現時点であまり定量的な結論はできないが、フローサイトメトリーによる解析結果は、成体における血液前駆細胞の10%近くが一次造血細胞に由来することを示唆していた」、とSamokhvalov研究員。「そもそも、今回の方法でどれだけの一次造血細胞を標識できているか分からず、二次造血への寄与はもっと大きいかもしれない」。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=354269

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