心を左右する脳内物質はどのように形成されるのか?

「怒り」「感謝」「やる気」といった心の状態は、オキシトシンやセロトニン、ドーパミンなどの脳内物質の分泌によって形成される事がわかってきました。

中でも、同類を肯定的に見る心の状態は、(哺乳類が)母子関係を肯定的に強化したオキシトシンの分泌が大きく影響しており、母胎内から乳幼児期にかけての母子関係を基盤として、その後の同類他者との関係を規定しているものと思われます。

しかし、脳内物質と呼ばれるこれらの物質は、脳だけに存在するものではなく、その多くは腸で生成されて脳に作用することがわかってきました。
母胎内から乳幼児期にかけての母子関係は、脳の成長だけでなく、食べ物を通して腸(細菌)の成長にも関与している可能性があります。

腸が心の形成に大きく関与している事を示す記事を紹介します。
リンク
より引用

「大腸が「心」も動かす? 神経細胞が多く存在、脳と関係 」

●「腹が立つ」は科学的にも理がある

 大腸の粘膜に炎症が起こって潰瘍(かいよう)ができる病気に、潰瘍性大腸炎があります。この病気が悪化して大腸を全摘する手術を受けると命はほとんど助かりますが、栄養が低下して元気がなくなったり、免疫力が低下したりします。そこから、大腸は便をつくって排出するだけでなく、もっと多くの仕事をしているのではないかと考えられるようになりました。

 大腸をとってしまうと元気がなくなるのは、脳と腸が密接に関わっているからです。大腸は多くの神経細胞があり、交感神経系や副交感神経系を介して脳とつながっています。おなかの調子が悪いと気分が沈み、逆に脳にストレスがかかるとおなかの調子が悪くなるといったように、脳と腸が双方向に影響し合うことを脳腸相関といいます。日本語には「腹が立つ」「腑(ふ)に落ちる」「腹が黒い」などの表現があり、おなかと脳(心)がつながっていることを体験的に知っていたと思われます。

~中略~

 近年、腸の働きを維持するために腸内細菌が重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。

●腸内細菌がつくるセロトニンが感情をコントロール

 脳腸相関ということでは、腸内細菌は神経伝達物質もつくっています。神経伝達物質は神経細胞間の情報伝達を担っている物質で、セロトニンやドーパミンなどがあります。たとえばセロトニンは感情のコントロールや精神の安定に深く関わっている物質で、不足するとうつ病を発症する原因ともなります。

 小刻みな歩行になるなどの症状がみられるパーキンソン病は、ドーパミンが働かなくなることで発症します。一般には脳・神経の病気と思われていますが、最新の研究では、原因が大腸にあるのではないか、といわれるようになってきました。大腸でのドーパミンの産生が減り、それが神経を伝わって脳にまで広がって発症するのではないかというのです。

 また、神経難病の一つである多発性硬化症という病気にも腸内細菌が関係しており、糞便(ふんべん)移植(健康な人の便に含まれる腸内細菌を病気の人に投与する治療法)をすると改善することがあります。

 このように腸と脳(心)は密接に関係しています。それを結びつけているのが腸内細菌です。最近では腸内細菌のバランスの乱れが、肥満、花粉症、糖尿病、大腸がんなどさまざまな疾患とも密接に関係していることが明らかになりつつあります。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=353628

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