骨髄移植の後、移植を受けた人の血液のDNAがドナーのDNAに完全に置換されることが判明。特に「精子」は100パーセントがドナーの遺伝子となっていた!

衝撃的です。骨髄移植により血液、肉体、そして精子のDNAが提供者のものに書き換えられることがわかりました。それは、意識と記憶はそのままで、肉体の遺伝子情報が他人のものとなるということです。近代医学の技術は個人の「本人性」すらも切り刻んでしまう。

「indeep」さんより抜粋・引用です リンク

◆精子の DNA がすべてドナーの DNA になっていた
アメリカのニューヨーク・タイムズで極めて興味深い記事を読みました。それは、

『骨髄移植の後、本人の DNA が、ドナー(提供者)のものに置き換えられる』

ということがわかったというものです。特にショッキングなのは、血液が完全にドナーの遺伝子であることに加えて、「精子の DNA がすべてドナーの DNA になっていた」ということです。

自分の中に流れる血液は「自分の遺伝子が含まれない血液」であり、そして、自分の遺伝子を継ぐはずの子どもを作る「精子」が、「すべて他人の遺伝子」だということになっているようなんですね。

人間の遺伝子と本人の関係って何なのだろうと思いますが、そのニューヨーク・タイムズの記事をご紹介します。

NY Times 2019/12/07リンク

●DNAテストで「あなたのDNAはあなたのものではなく、他の男性のものです」と言われるとき

白血病の男性は、治療のための骨髄移植の後、骨髄を提供した男性の DNA が彼の体の予期しない部分に移動したことが発見された。現在、犯罪研究所がこの出来事を研究している。

米ネバダ州リノに住むクリス・ロング氏は、白血病の治療のために骨髄移植手術を受けた。骨髄移植から 3か月後、ロング氏は、「自分の血液中の DNA が変化している」ことを知った。ロング氏の血液中の DNA がドナー(骨髄提供者)の DNA に置き換えられていたのだ。提供者は 5000キロ離れたドイツに住む知らない男性だ。

彼がそのことを知ったのは、彼が働いていた保安官事務所の同僚から自分の血液を検査するように勧められていたことで、その検査によって、ロング氏の血液中の DNA が他者のものに変化していたことがわかったのだ。

ロング氏が、骨髄移植を受けたのは今から 4年前のことだが、影響を受けたのは、血液だけではなかった。唇と頬の組織には、ロング氏本人の DNA が含まれていたが、ドナーの DNA も含まれていた。ロング氏と犯罪研究所の職員たちにとって、さらに驚いたのは、ロング氏の「精液」の中の DNA がすべてドナーの DNA となっていたことだった。

彼はこのように言う。

「私の精子から私が姿を消したのです。そして、他の誰かがそこに現れていることを知り、信じられないと思いました」ロング氏はキメラ(同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ)になった。キメラとは、異なる 2種類の DNA を持つ希少な人を示す言葉だ。医学の世界では、特定の医療処置が人々をキメラに変えることについては長い間知られていたが、血液以外で他者の DNA が現れることについては、ほとんど研究されていない。

しかし、今回の件で「精子の DNA がすべてドナーの DNA に置き換えられる」ことが示されたのだ。血液ガンや白血病、リンパ腫や、その他の血液疾患の治療のために毎年何万人もの人々が骨髄移植を受けている。彼らのいずれかが犯罪の加害者または被害者になる可能性は低いとしても、ワシュー郡保安官局のロング氏の同僚たちは、このことに強い興味を持っている。

●DNAはどこへ行くのか

今年 9月に行われた国際的な科学捜査会議で発表されたロング氏のこの事象の意味は、ネバダ州をはるかに超えて、 DNA 分析官たちの関心を集めた。

一般的な医師は、ドナーの DNA が患者内のどこに存在するかを知る必要はないと考えている。その理由は、このタイプのキメラ現象が有害である可能性が低いと考えられているためだ。また、骨髄移植の後に、人間そのものが変わるわけではない。つまり、人格が変化したり、脳の状態が変化したりはしない。

骨髄移植を受けた男性の患者で、ドナーが女性の場合、男性と女性の染色体を併せ持つことがあったり、あるいは女性の中に男性の染色体が流れることはあるが、「医療的にはそれは問題ではありません」と、米スタンフォード大学医療センターの骨髄移植ユニットの医療ディレクターであるアンドリュー・レズヴァニ医師は述べる。

しかし、医療現場ではこれは問題にならなくても、法医学者や科学捜査官たちにとっては非常に大きな問題となる。犯罪現場から採取される DNA の証拠は、彼らにとって最大の証拠のひとつだ。このこともあり、ワシュー郡保安官事務所の捜査官は、骨髄移植を受けた同僚であるロング氏にテストを勧めたのだ。

ロング氏は、検査に同意した。彼は、急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群を発症し、骨髄移植を受けている。どちらも健康な血液細胞の産生を損なう疾患だ。骨髄移植から 4年後、ロング氏は寛解(ほぼ病状が治まること)し、仕事に戻った後、犯罪研究所の同僚たちの助けを借りて、ロング氏の DNA 検査が続けられた。

DNA テストは骨髄移植の直後から続けられたが、骨髄移植後 4か月以内に、ロング氏の血液はドナーの血液に置き換えられた。唇、頬、舌から採取された組織にも、ドナーの DNA が含まれていた。収集されたサンプルのうち、ドナーの DNA の影響を受けていなかったのは、胸と頭髪だけだった。

しかし、最も予期しなかったことは、骨髄移植から 4年後、ロング氏の精液中の DNA は、すべてがドナーのものと完全に置き換えられたことだった。

参照:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=352225

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