タンパク質の重要性
人間の身体は水分を除けば約6割がタンパク質です。タンパク質は人間の健康にとって最も重要な栄養素の一つ。ですから常に意識して摂取する必要があります。
タンパク質は20種類のアミノ酸からできています。実はアミノ酸自体は20種などではなく、500種類近くあります。細胞の核の中にある染色体にはDNAと呼ばれる遺伝情報が書かれた領域があり、これは20種類のアミノ酸の配列を記録したものです。DNAに基づきアミノ酸をつないでいくとタンパク質ができ、タンパク質が集まって生命体が出来上がります。
人間の身体の筋肉や臓器はもとより、爪や髪の毛、皮膚などもタンパク質でできています。骨や歯も、その基本骨格はコラーゲンというタンパク質で作られています。歯のエナメル質にすら、エナメリンというタンパク質がわずかながら含まれます。
人間が生きるために行っている代謝にも、常にタンパク質は必要とされています。代謝に必要な酵素はほぼタンパク質であり、代謝を調節するホルモンもまたタンパク質です。タンパク質は体内で常に必要なものが作られ、また不要になったタンパク質は分解され、次のタンパク質合成に再利用されます。
糖化したり酸化したりして変性したタンパク質は、新しいタンパク質に置き換えられています。変性したアミノ酸からはアミノ基が取り外され、エネルギー代謝に使われます。アミノ基はアンモニアになりますが、肝臓で尿素回路によって尿素に変換され、尿から排泄されます。
アミノ酸には他のアミノ酸や中間代謝物から合成できるアミノ酸（非必須アミノ酸）と、合成できないアミノ酸（必須アミノ酸）があります。非必須アミノ酸は11種、必須アミノ酸は9種あります。普段の食事で十分なタンパク質を摂ることで、身体の状態が良好になり、正常な代謝が行えるようになります。
タンパク質は人間にとってとても重要なものであり、食事から十分なタンパク質を摂る必要があります。食事で摂ったタンパク質は消化器官で消化され吸収されます。しかし人間の身体も消化器官もタンパク質でできています。食事中のタンパク質を消化する消化酵素は、人間の身体も消化してしまうのです。
タンパク質の消化は胃と十二指腸および小腸で消化され、吸収されます。タンパク質の消化は二段階で行われ、胃でタンパク質をペプチドという状態にまで分解します。十二指腸から分泌される膵液に含まれるタンパク質消化酵素は、基本的にペプチド状態のタンパク質にのみ作用するため、十二指腸や小腸は分解されません。
一方胃では、タンパク質をペプシノーゲンと胃酸によってペプチドまで消化します。ペプシノーゲン自体はタンパク質の消化能力は無く、胃酸（塩酸）と合わさって、ペプシンという活性型の消化酵素になります。ペプシンは食べ物のタンパク質をペプチドまで分解する一方で、胃自体もペプチドまで分解してしまいます。
とはいえ胃自体は非常に細胞分裂の活発な組織なので、胃の表面が消化され溶けてしまっても、外側から常に新しい細胞が補充されることで健康状態が維持されています。ところが長期にわたって低タンパクの食生活を続けると、胃粘膜が薄くなって消化酵素の分泌も低下してしまいます。これを萎縮性胃炎といいます。
萎縮性胃炎になると胃の消化能力が低下し、十分なタンパク質を消化吸収できなくなります。そうなると体は慢性的なアミノ酸不足となって代謝が低下したり、新陳代謝が滞ったり、神経伝達物質の合成が上手くいかなくなって精神疾患になったりと、様々な問題が起こってきます。
健康で長生きしたいなら、常にタンパク質の摂取を心がけるべきです。タンパク質は体重1㎏あたり1g以上摂る必要があります。僕は1.5～2gは摂るべきと考えています。タンパク質は一回に摂る量や質、摂り方によって吸収率が大きく異なります。タンパク質を効率的に消化吸収するためにとても重要なことは、よく噛むことです。噛むことは非常に重要であり、もし咬み合わせなどに問題があって良く噛めないのなら、歯科治療を受けて良好な状態にしましょう。歯医者はそのために存在するのですから。
参照：https://www.facebook.com/shukaku.nagao/posts/2691059020971985
