【野菜ジュース 危険】誰もが身体に良いと信じて疑わない「野菜ジュース」の本当の中身について

【 「野菜ジュース」の成分は“満足感”だけ!】
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「1本で1日に必要な野菜」「濃縮還元」は詐欺!?

清涼飲料水の生産量が2013年に初めて2000万キロリットルの大台を突破した(全国清涼飲料工業会調べ)。日本の全人口で単純に割ると、1人当たり年間約160リットルも飲んでいることになる。しかし、ドリンクの“おいしい”宣伝文句にあおられ、中身も知らずに飲んではいけない。

この特集では「ヤバすぎるドリンクの裏側」を5日連続で紹介していく。2日目は「野菜ジュース」の裏側を「食品添加物の神様」が教える!

B郞(40代)はこの秋の昇格人事で部長になった。働かない上司のA男(50代)に気配りしつつ、激務をこなしているのだから当然だ。それなのに妻のC美(30代)には「もう少し家庭に目を向けてよ」と不満をぶつけられる。戦う男は体調とメンタルをつねに万全にしておかねばならない。そこで「1日に必要な野菜が取れる」野菜ジュースを飲むようになった。息抜きのコーヒーは、ブラックだと胃に悪い気がするので必ずコーヒーフレッシュを入れる……。

 消費者はもうちょっと疑問を持って!

野菜ジュース1本で、本当に「1日に必要な野菜」が取れるのか。コーヒーフレッシュはなぜカフェにタダで山盛りに置いてあるのか。「消費者は疑問を持ってほしい」と安部司さんは忠告する。

かつて食品添加物の専門商社に勤務し、多種多様の食品添加物を加工食品業者に販売していた安部さんは、消費者が知らない加工食品の現場を見て、食の安全性に危機感を抱くようになった。現在は無添加食品の開発を推進。その経緯を著書『食品の裏側』にまとめ、消費者に警鐘を鳴らしている。

まず「1日に必要な野菜が取れる」という表示はトリックだと指摘する。厚生労働省が、健康を維持するには成人1日当たり350g以上の野菜を取ることを推奨しているのだが、「その数字を基に、1日に必要な野菜350g分を計算上、入れたということであって、野菜350gを取った場合の栄養素が入っているわけではない」。

やや古いデータだが、名古屋市消費生活センターが2007年に市販の野菜ジュース35銘柄の栄養成分を分析している。野菜350gを取った場合、ビタミンCを45mg、カルシウムを114mg、カロテンを8.6g取れると換算して比較。「ビタミンCやカルシウムなどの摂取はあまり期待できない(35銘柄中、水準に達したのは2銘柄)」「カロチンは十分なものがいくつかあるが、ほとんど含まないものもあった(35銘柄中、水準に達したのは8銘柄)」。

栄養素がない野菜ジュースを飲んでも気休めにしかならない。そこにあるのは飲んだ人の“満足感”だけである。安部さんは「特に『濃縮還元』タイプのものは、栄養素がほとんどない」と教える。その製法はこうだ。

まず野菜は世界各国から輸入される。野菜の原産地を見られるQRコードがパッケージに記載されている商品や、メーカーのホームページで公開している商品もある。

「基本的に、メーカーは値段が安ければ世界中どこからでも集めてきます。だいたい15カ国ぐらいだが、中国産もある。となると気になるのは残留農薬のリスク。今のところ、輸入時の検査で違反はないが、何か問題が起きたときに、どの国のどの野菜が原因だったのか追跡できるのか不安が残る」

それらの野菜を加熱して6分の1の体積に濃縮。ケチャップのようなどろどろの“濃縮ペースト”を冷凍して、日本に輸入する。体積が6分の1だから、運賃も6分の1になるというわけだ。

この“濃縮ペースト”に水を加えて元に戻したものを「濃縮還元」と呼ぶ。国内で戻せば「国内製造品」と表示していい。

野菜ジュースのパッケージに「濃縮還元」「国内製造品」と書いてあったら、消費者は「安心、安全。体にもよさそう」と思うだろう。

だが、「この方法だと、香りはもちろん、ほとんどの栄養素が失われてしまう。食物繊維は飲みにくくなるので、あらかじめ取り除いている。メーカーによっては香料やビタミンC、ミネラル、カルシウムなどの食品添加物で補っています」。

 安全性に疑問のある香料も、一括表示!

この香料がくせものだ。化学的に合成された香料は3200以上あり、それらを組み合わせて作る。たとえば、イチゴの香料なら、酪酸エチル、乳酸エチルアルデヒド、リナロール、アセトフィノン、アルデヒドなど20種類以上を混ぜて、天然に近い香りを作る。「フルーツ飲料系のみならず、野菜ジュース、缶コーヒー、お茶に至るまで、さまざまなドリンクに香料は使われている。作れない香りはない」と、“食品添加物の神様”と呼ばれた安部さんは断言する。

問題は、メーカーがどんな香料をどれだけ使っているのか、消費者に知る術がないことだ。何百種類使っても「原材料名」には「香料」の一括表示でOKなのである。

これがもし上記のような合成香料の名前がずらずら表示されていたら、消費者は買うのをためらうのではないだろうか。中には安全性に問題のある香料もあるが、一括表示では避けようがない。

したがって、「香料」の表示があるドリンクはすべて買うべきでないということになる。しかし、多くのドリンクに香料が使われているからやっかいだ。

一括表示が許されているものは、ほかに「調味料」「乳化剤」「pH調整剤」「酸味料」「苦味料」など14種類ある。「それを隠れみのにして、メーカーが何をどれだけ入れていることか。メーカーにとっては非常に便利な表示です」と明かす。

では、ビタミンCの添加物はどうか。これはアスコルビン酸である。「アスコルビン酸、クエン酸、りんご酸、フマル酸は、ほとんどが中国産。日本の公定基準に合わせて作っているでしょうか」と疑問を投げかける。

 野菜で貧血を起こす!

こうした添加物以上に安部さんが問題視するのは、野菜ジュースに含まれている硝酸態窒素だ。野菜に取り込まれる硝酸態窒素が国際的に問題になっているという。

「硝酸態窒素を大量に摂取すると、体内で亜硝酸窒素になります。これは血液中のヘモグロビンが酸素が取り込む前に酸素を取ってしまうので、貧血を起こす。アメリカでは、ほうれん草の裏ごしスープを離乳食として赤ちゃんに与えたところ、酸欠状態になり、全身が青くなった。そこから『ブルーベビー病』と呼ばれています」

硝酸態窒素が野菜に取り込まれる原因は、窒素系(アンモニア態)の肥料を大量に与えすぎること。これが土壌の中で硝酸態窒素に変化し、それを野菜が取り込む。本来、野菜が成長する過程で硝酸態窒素はアミノ酸、たんぱく質に変わっていくのだが、野菜を早取りすると硝酸態窒素のまま残ってしまう。

「EUの基準では硝酸態窒素は野菜100g当たり0.2~0.3gですが、日本には基準がなく、現段階で規制もされていない。日本の水道水の基準は1リットル当たり10mgだが、その2~18倍の量が市販の野菜ジュースから検出されたという民間の分析報告もある。メーカーはきちんと硝酸態窒素の含有量を公開してほしい」

野菜ジュースの“健康神話”を根底から疑ってみる必要があるだろう。

 コーヒーフレッシュは「ミルク」ではない

さて、コーヒーフレッシュである。安部さんは食品メーカーと一緒に、まさに開発していた。

「コーヒーフレッシュは何からできているでしょうか」と講演で質問すると、ほとんどの人が「ミルク」や「生クリーム」と答える。「そんなものは入っていない。植物油と水と食品添加物からできています」と、作り方を教えると一様に驚くという。

まず植物油と水を混ぜる。水と油は分離するので乳化剤を入れる。すると混ざって白く濁る。さらに、とろみをつけるために増粘多糖類(一括表示)を入れて、カラメル色素で薄く茶色にすると、いかにもクリームのようになる。そこにミルクの香料(一括表示)を入れて、日持ちをさせるためにpH調整剤(一括表示)を入れて出来上がり。

「普通のミルクや生クリームをコーヒーに入れると、ほわっと上がってくるでしょう。あの上がり方を再現するのが難しかったなあ。1年かかったよ。でも簡単に元は取れた。原価が安いし、外食系企業がぼんぼん買ってくれたからね」

コーヒーフレッシュの正体は添加物だらけの“ミルク風油”だった。「ミルクがなぜ常温で置きっ放しでも腐らないのか、ちょっと考えたらおかしいと思うはずだけどね」と安部さん。おかしいと思わない消費者の感覚こそが、おかしいのかもしれない。

このように、裏側を知るとギョッとするような「原材料」はまだまだある。たとえば、合成着色料は石油。「タール系色素」とも呼ばれる。少量でムラなく色が出るのが利点だ。

現在、日本で食品添加物として認可されている合成着色料は12種類(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号)。

イギリスの食品基準庁では、合成着色料を摂取した子どもに多動性行動が見られたという研究報告を受けて、「子どもの活動や注意力に悪影響を与える可能性があります」という表示を義務化した。義務化されたうちの赤色40号、赤色102号、黄色4号、黄色5号は、日本で使われている。国によって取り扱いが異なるから不安である。

 「石油」に「虫」――着色料は何でもアリ?

だが、天然着色料も安心できない。コチニール色素はオレンジや赤の着色に使われるが、原材料はなんと虫(サボテンに寄生するカイガラムシ科エンジムシ)。ドリンクのほか、ハムやお菓子など広く使われている。

このコチニール色素によるアレルギー症状の発症例が報告され、2012年5月に消費者庁が注意を呼びかけた。

「虫の内臓から色素を取るから、内臓のたんぱく質に反応してアレルギーを起こすのです。日本でも1990年代からコチニール色素によるアレルギーの臨床報告が大阪などであったのに、国はずっと無視してきた。しかも、2012年5月以降もアレルギー表示を義務化する動きはない」と安部さんは首をかしげる。

食物繊維が入っている“ファイバードリンク”としておなじみ「ファイブミニ」のオレンジ色も、コチニール色素が使われている。製造・販売している大塚製薬の広報に確認してみた。

「現在も引き続き、コチニール色素を使用しております。1988年に発売してから25年以上経ちますが、アレルギーを発症したという報告はございません。健康被害の申し出も今のところないという状況です。アレルゲンたんぱく量を十分確認したうえで、2001年からは低アレルゲン化したものを原材料として仕入れて使用しております」

──なぜわざわざ虫を使うのかが不思議です。ほかのもので代用できないのでしょうか。

「コチニール色素はいろいろな食材に使われていることもありまして、商品設計の中で最適なものを使用しております」

米国のスターバックスでは「ストロベリー・フラペチーノ」の赤色にコチニール色素を使っていることが判明し、2012年3月に「段階的にコチニール色素をやめて、トマトから抽出されるリコピンに切り替える」と発表している。ベジタリアンが「動物由来のものは使わないで」と批判したのがきっかけらしい。……論点はそこ!?

▼ニューズウィーク日本版「スタバ究極の無添加フラペチーノは昆虫風味」

では、日本のスターバックスでは現在、赤色にどんな着色料を使っているのか。市販のドリンクと違って、飲食店のドリンクは「原材料名」をすぐ確かめることができない。こういう時のために「お客様相談室」があるのかもしれない。スターバックス コーヒージャパンのお客様相談室に問い合わせてみた。

「今はコチニール色素を使用しておりません。『ストロベリー・フラペチーノ』は期間限定でお作りしているもので、そのときどきで使用する着色料が異なることもございますが、直近で発売された今年7月の『ストロベリー・ディライト フラペチーノ』は、ストロベリースライスに紅こうじ色素、ストロベリーソースに赤色40号、ストロベリーシロップにクチナシと紅花の色素を使用しておりました」

──赤色40号は安全なのですか。

「今、申し上げました色素はすべて食品衛生法上で許可されている安全なものです」

赤色40号は前述のとおり、イギリスで『子どもの活動や注意力に悪影響を与える可能性があります』と表示義務があるもの。日本では表示義務がないから、実際にこうして使われるのだろう。

国の認可が取り消されることも

「天然由来だからといって盲信はいけない」と安部さん。植物のアカネから抽出したアカネ色素は、発がん性があるとして2004年に禁止された。

「アカネ色素はそれまで20年ぐらい使われていました。2003年度版までの食品添加物の本には、安全性は確立されていると書いてあったが、2004年度版からはそのページが飛んでいる。これまでに60品目の食品添加物が厚生労働省に認可を削除をされた」。つまり、国が「安全」と言っていても、いつ禁止になるかわからないのだ。

そもそも、“意外な”原材料の着色料がドリンクや食品に使用されるのは、もともと着色料が衣料の染色から始まったからだという。そして、消費者も「きれいな色」のドリンクを好み、味をイメージする重要な要素となっている。

安部さんは講演で香料と着色料を使ったこんな実験をしている。

片方にメロンの香料、片方にレモンの香料を入れて、色をつけない透明な液体を聴衆に飲ませて、何のドリンクか当てさせる。すると、ほとんどの人は当てられない。

次に、レモンの香料のほうを緑に着色すると、「メロン」と答えるという。つまり、透明だと何のドリンクか判断できず、香りより色が大事なのだ。「試しに、『ファンタオレンジ』を誰かに目をつむって飲ませて、何味か当てさせてみるといい」。

「きれいな色」だけでなく、「自然な色」に見せるためにも、わざわざ着色料が使われる。前述のカラメル色素だ。

「赤っぽい茶色から真っ黒まで、いろんなカラメル色があり、私も売り歩いていた。日本の着色料の80%はカラメル色素。醤油やみその文化だから、茶色は自然な色に見えて安心するのです」

ただし、カラメル色素には製法によって4種類あり、発がん性が疑われるものもある(詳細は明日の記事で説明)。なぜメーカーはその製法で作るのか。

「昔ながらの砂糖を煮詰める方法ではカラメル色が安定しないからです。特にクエン酸が入った酸味の中だと色があせていく。数年経っても色が変わらないように化学処理をする」

消費者は、そうまでして「きれいな色」や「自然な色」のドリンクを飲みたいわけではなく、安全性が何より重要なはずだ。しかし、その判断をするためにも、メーカーの情報開示と、消費者の知る意欲が不可欠である。

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