ビタミンB6によるマグネシウム吸収・・・マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルは体内の必須栄養素であるものの、これらは金属であるからこそ、その吸収は容易ではありません。

ビタミンB6によるマグネシウム吸収

マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルは体内の必須栄養素であるものの、これらは金属であるからこそ、その吸収は容易ではありません。

マグネシウムを意識して日々摂取しているのに、その効果を感じられない、と思う人も中にはいるかもしれません。マグネシウムの吸収はいくつかの要因に左右されているため、マグネシウム・リッチな食品やサプリメント補給をしているにもかかわらず、マグネシウムが不足していることもあります。その原因の一つに、実はビタミンB6不足があります。

ピリドキシンとも呼ばれているビタミンB6は、細胞にマグネシウムを輸送したり、またマグネシウムの蓄積を増やすことのできるビタミンです(Magnes Res. 1990 Jun;3(2):79-85)。これは、ビタミンB6の活性型であるピリドキサールリン酸(PLP)がマグネシウムと錯体(≒化合物)をつくることによってマグネシウム吸収量が2~3倍になると言われています。

女性に多い月経前症候群(PMS)はいくつかの臨床によって、その根本原因にマグネシウム欠乏が挙げられています。実際に、PMSの女性では、赤血球や白血球におけるマグネシウムのレベルがPMSの無い女性よりも低いこともわかっています(Obstetrics, Gynaecology and Reproductive Medicine. 2008;18(2):29-52)。

PMSにおけるある臨床研究では、B6100mg /日を1ヶ月間投与すると、血清マグネシウム濃度が高かくなったことが分かっています。他の研究においても、B6を投与するだけで、細胞中のマグネシウムレベルが著しく増加することがわかっています(Magnesium. 1986;5(1):27-32)。

そこで、イギリスのレディング大学の研究では、B6がマグネシウム吸収率をアップさせることに着目し、平均年齢32歳の女性44人を対象に、マグネシウムのみを投与したグループ、B6のみを投与したグループ、マグネシウムとB6を併用したグループ、そしてプラセボ薬を投与したグループに分け二重盲試験を行ったところ、マグネシウムとB6を併用したグループに有意な改善が見られたことを発表しています(J Womens Health Gend Based Med. 2000 Mar;9(2):131-9)。

また、イランのイスファハン医科大学の研究においても、PMSの患者(平均年齢30歳前後)を無作為に3つのグループに分け、マグネシウムのみの投与グループ、マグネシウムとB6の投与グループ、そしてプラセボ薬の投与グループ、それぞれ50人ずつにして二重盲試験を実施したところ、マグネシウムとビタミンB6の組み合わせが、マグネシウム単独投与よりも、PMS症状の軽減に役立ったことを報告しています(Iran J Nurs Midwifery Res. 2010 Dec; 15(Suppl1): 401-405)。

アメリカ精神医学協会(American Psychiatry Association)でも、マグネシウムとB6の併用がPMS症状を低下させる可能性があることを公言しています。また、B6の活性型であるPLPの血清濃度が上がるほど、がん、糖尿病、心血管疾患などの慢性疾患から軽減されることもわかっており、予防因子の一つといえます。つまり、適切なPLP濃度を維持することは、長寿に結び付くわけです。

ただし、注意しなければならないのはB6は水溶性ビタミンの中でも最も副作用のあるものです。B6のメガドースは、あらゆるアミノ酸代謝を促進するものの、一方で興奮性の神経毒を高めてしまうことがあるため、大量摂取はあまりお勧めできるものではありません。

以上により、マグネシウム吸収を促進するのにビタミンB6の補給は有効です。

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