宮澤賢史 (著)
タイトルを見る限り、サプリ推しの内容かなと思うかもしれませんが、そうではありません。著者が掲げる、目指すべきゴールは、むしろ「サプリメントがいらない体になる」です。
人は時に、何かにハマってしまうと、本来の目的を忘れてしまい、手段が目的化してしまうことがあります。
例えば、健康を維持するための手段として、プロテインを飲むとか、ビタミン剤をとるとか、ミネラル補給をするなどありますか、いつしかこれらを飲むことこそが目的のようになってしまってい、とにかく飲まなければならないという強迫観念に駆られてしまっているというような人も実際に多く見受けられます。
これはサプリメントだけでなく、近年流行している、個体差を無視したフードファディズム(=あれは悪くてこれは良い、これを食べていたら健康になる、あれを食べていたら不健康になるという常軌を逸した食事法)と同じです。
そもそも、世界の長寿研究において百寿者はサプリメントによって健康を維持しているという事実はほとんどありません。昔はサプリメントなどなかったわけですから当然といえば当然です。
とはいえ、現代ではサプリメントに頼る必要性がある人もいるということは事実です。現実的に、何らかの遺伝的な虚弱体質があったり、慢性疾患の予防や治療の一環として使用することは、薬品をやみくもに使った現代医療の対症療法よりも、はるかに利用価値の高いものです。
しかし、大切なことはやはり日頃の食事や生活習慣の見直しにあり、さらに、栄養不足の原因はそもそも摂取不足だけが問題なのか、もしかすると体内で栄養が枯渇している原因は他にあるのではないのか、隠れ炎症によって栄養素が体内に吸収されていってないのではないのか、など根本的な原因も考えずに、やれメガドース、やれ高タンパクなどは、これでさえも対症療法になってしまうかもしれません。
さて、本書の内容は分子栄養学の基礎をひと通り網羅したもののため、どなたでも非常に読みやすく、教科書的な内容にもなっています。よって、本文に派手さはないものの、昨今なぜか流行しているの極論争いに対しても暗黙的に一石を投じているかのような俯瞰した内容でもあるので、私自身たくさんの共感を覚えました。
著者は特に、「何を食べるか」よりも、まずは「何を食べないのか」を、食事療法の第一歩目としています。これは分子栄養学(細胞視点でみた根本的な解決)をベースとした治療を17年やってきたからこそ強い確信となっている、非常に重みのあるポリシーだと思います。
本文でよく出てくる、ミトコンドリア、副腎疲労、炎症、腸内環境、ビタミンC点滴、ナイアシン、マグネシウム、鉄、血液検査の解釈、カフェイン、カンジダ、水銀、自律神経、ストレスなどなど、この中で気になるキーワードがある人はぜひ読んでみてほしいです。
本来のゴールは、極力サプリメントに頼らなくても食事で健康を維持できる体づくりにあると私も思います。そして、これに付け加えるのなら、「あれもこれも悪いから〇〇フリー」という制限食を目的化するのではなく、最終的には「適量であれば何でも食べれる胃腸づくり」にもっていくのが、健全な考えではないのかと私は思っています。
内容紹介
あれこれ飲むのはNG!
実は危険な飲み合わせ、飲み方本当に知るべきは何を摂るか、より
何と摂るか! 何を避けるか!
食事、サプリのパフォーマンスを上げる「最強の栄養摂取術」!・処方薬服用中のサプリは要注意
・摂り過ぎが不調を招くビタミンA
・単体で摂っても効果が少ないミネラル・ビタミンB
・日本人に不足がちなのはカルシウムよりもマグネシウム【目次】
第1章 一生ものの健康のために、まず知っておきたい栄養の話
第2章 その不調が続くのは、栄養の摂り方が間違っているからです
第3章 一般健診でわかる、あなたに足りない栄養素
第4章 食事治療の基本は「何を食べるか」よりも「何を食べないか」
第5章 サプリメントのパフォーマンスを高めるために「避けるべきこと」「やるべきこと」
内容(「BOOK」データベースより)
あれこれ飲むのはNG!実は危険な飲み合わせ、飲み方。足りない栄養素を見つけ、補うコツを教えます。著者について
宮澤賢史。医師・医学博士。
東京医科大学医学部卒。
医科歯科連携診療普及協会 理事長。
臨床分子栄養学研究会 理事長。
問診事項と多くの血液、尿、唾液検査などにより疾患の原因を追究し、
その原因に対する根本治療を行っている。
2004年から栄養療法を開始 ライナスポーリング博士の提唱する
分子整合栄養医学を医療に取り入れた観点からの医療を展開する。
がんから糖尿病、リウマチ、精神疾患まで扱う範囲は幅広く、患者数は20,000人を超える。
現在、治療の傍ら、
NPO法人高濃度ビタミンC点滴療法学会 理事、
分子栄養学実践講座 主宰、
医科歯科連携診療普及協会 会長を兼任。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮澤/賢史
医師・医学博士。東京医科大学医学部卒。医科歯科連携診療普及協会理事長。臨床分子栄養学研究会理事長。問診事項と多くの血液、尿、唾液検査などにより疾患の原因を追究し、その原因に対する根本治療を行っている。2004年から栄養療法を開始。ライナスポーリング博士の提唱する分子整合栄養医学を医療に取り入れた医療を展開する。がんから糖尿病、リウマチ、精神疾患まで扱う範囲は幅広く、患者数は20,000人を超える。現在、治療の傍ら、NPO法人高濃度ビタミンC点滴療法学会理事、分子栄養学実践講座主宰、医科歯科連携診療普及協会会長を兼任