米国は赤ちゃんを母乳で育てることに反対…WHOの職員をアッと言わせた。命ある生き物として終わっている。

資本主義の末路を垣間見るような報告です。水道の民営化などに続き、生存権を脅かすこともグローバル企業にとってはお構いなしです。

リンクより引用です。
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 赤ちゃんを母乳で育てることが一番いいことは、科学的な報告書を読むまでもなく、常識的にも容易に納得できることである。しかしながら、世界保健機関(WHO)での評決で米国はこれに反対した。何故か?国内の粉ミルクメーカーの利益を守るためだ。要するに、米国からの代表にとっては赤ちゃんの健康は国内の粉ミルクメーカーの優先順位よりも低いのだ。

 恐るべき事態である。「資本主義はここまで来たか」という感じだ。

 しかしながら、この種の状況はこれが初めてということではない。何度となく繰り返されて来た。われわれ一般庶民にとっては個々の問題の重要性に注目することはもちろん大切であるが、それと同時に、それぞれの問題の背景に横たわるもっと大きな構図を明確に理解しなければならない。

(中略)
 
<引用開始>
 赤ちゃんを母乳で育てようと呼びかける決議案は、今春、WHOの総会のためにジュネーブに集まった何百人もの政府からの代表者によって迅速に、容易く承認されるであろうと推測されていた。

 何十年間にもわたる調査に基づいて、この決議案は子供たちにとっては母乳が一番健康的であり、母乳の代用品の販売については不正確な宣伝や誤解を招くような文言は各国政府が規制するべきであるとしていた。

 米国からの代表は、調整済みの粉ミルクのメーカーの利益のために、この議論をひっくり返した。

 米代表は、各国の政府が「母乳を与えることを保護し、推進し、支援する」ことを求めるとする文言を削除し、さらには、数多くの専門家が乳幼児には有害な影響を与えると報告している食品の販売については各国の議会が規制を加えるとする他の文言さえも削除するよう迫り、この決議案を骨抜きにしようとしたのである。

 この議論に参加していた外交官や政府代表者らの話によると、その企てに失敗した時、米代表は脅しをかけ始めた。この決議案を提出しようとしていたエクアドルが脅かしの最初の標的となったのである。

 米代表はぶっきらぼうにこう言った。即ち、もしもエクアドルがこの決議案を撤回しないならば、ワシントン政府はその罰として通商対策を講じるだけではなく、軍事援助を中断するだろうと言ったのである。エクアドル政府は不本意ながらも速やかにそれに従った。

 この決議案をめぐる対決については何か国かを代表する10人以上の参加者たちから詳しい話を聞くことができた。これらの参加者は米国からの報復を恐れて、ほとんどが匿名を希望した。

 健康を擁護する専門家らは急遽この決議案の起草国を見つけ出そうとしたが、少なくともアフリカや南米の貧しい国々の多くは、ウルグアイやメキシコおよび米国の政府職員によれば、報復を恐れて、身を引いてしまった。

 「われわれはこれには驚き、愕然としている。悲しいことだ」と、英国の賛同グループ「べイビー・ミルク・アクション」の政策担当ディレクターであるパティー・ランドールは言う。彼女は、1980年代の末頃から、WHOの意思決定を行うこの総会に出席して来た。

 「実際に起こったことはまさに脅迫行為に匹敵する。全世界を人質に取って、乳児や幼い子供たちにとって最良である40年近くの調査結果をひっくり返そうとした」と、彼女は言った。最終的には、米国の努力は不成功に終わった。この策を導入しようとして最後にやって来たのはロシアであった。米国はロシアを脅迫しようとはしなかった。

 米国務省は質問に答えるのを渋って、個人的な外交官の会話を議論することはできないと言った。この決議案を修正するに当たって指導的な役割を担ってきた保健福祉省(HHS)は決議文の文言について異議を唱える決意をしたいきさつを説明してくれたが、エクアドルに対する脅かしについては同省は関与しなかったと述べた。

 「オリジナルの草案に記された決議文は子供に栄養を与えようとする母親に不必要なハードルをもたらした」と、HHSの職員が電子メールで述べている。「われわれの認識では、さまざまな理由があって、すべての女性にとって母乳で育てることが可能という訳ではない。これらの女性にはいくつかの選択肢が与えられ、赤ちゃんの健康のために代替策が入手できるようにするべきであって、そうすることが出来る手段については非難するべきではない。」 この広報担当者はより自由に喋べれるように匿名のままで居たいと言った。

 ベイビーフードの業界からはロビー活動家らがこのジュネーブの会合に出席していたが、健康促進派の賛同者らは彼らがワシントン政府の強力な片腕の役割を演じていることを示すような直接の証拠は見えなかったと言う。700億ドルにも達するこの業界は米国ならびに欧州の少数の企業によって独占されており、富裕な国々ではより多くの女性が母乳を与えていることから、最近数年間の売り上げの伸びは平坦なままである。総じて、ユーロモニターによれば、2018年の世界的な売り上げは4パーセントの伸びが見込まれている。この成長率の原動力のほとんどは発展途上国である。
 
(中略)
 
<引用終了>

 これで全文の仮訳が終了した。

 この記事を読むと、米国政府は米国のビジネスを何としてでも繁栄させ、経済的覇権を維持しようと躍起になっていることが伺える。例えば、最近話題になっている鉄鋼製品やアルミ製品に対する輸入関税に見られるように、トランプ政権は同盟国に対してさえも強硬な要求を突きつけている。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=337338

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