「20世紀初頭におけるアメリカ医学教育発展の歴史」

アメリカ医学教育発展の歴史はロックフェラー財団の影響を色濃く受けていた。そして医薬品の大半は彼らの石油から作られた。
リンク
医療ガバナンス学会 (2016年10月5日 06:00)より以下引用です
自分は、進路についての選択を強いられた時に、アメリカの医学部の、四年間教養科目を学び、それから大学院教育として医学を学ぶ、教育システムを知り、興味を持った。そこで、なぜこのような仕組みなったか経緯を調べてみたくなった。
 拙文、ハフィントンポスト「医学の歴史」から引用すれば、(リンク
アメリカは、植民当初、医学校など皆無で、時間を重ねるごとに、キリスト教の聖職者などを中心にして医学校の創設が始まり、合わせて病院も建設された。また、南北戦争は医療技術の発展に拍車をかけるターニングポイントとなった。

そして、20世紀の初頭に、「フレクスナーレポート」という、アブラハム・フレクスナーが行なった、全国的な医学部の教育の質に関する調査によって、教育水準が上がったという報告が存在する。それに対して、フレクスナーレポートは別の意図があったのではないかという主張も存在する。以下で後者の主張を具体的に考察する。
フレクスナーレポート発行以前の初期の頃は、患者の希望に合わせて患者が最適な治療を選択していた。この状況は、鈴木七美著「出産の歴史人類学」の中で垣間見ることができる。同書によれば、フレクスナーレポート発行以前は、出産の際には、産科の医師を呼ぶか、助産師に立ち会ってもらうかが選択できたそうだ。

しかし、次第に、医師のライセンス制への移行の機運や、医師会を通じて医療行為に対する価格が決定されるべきであるという機運が高まった。

ところで、かの有名なロックフェラー財閥傘下のスタンダードオイルは、19世紀の後半から石油市場におけるその独占的地位に陰りが見え始めていた。というのは、その頃、再三再四、あらゆる市場において市場独占が問題視され、独占的機構を抑制する方向に持っていかれたのである。例えば、1890年のトラストを規制するシェーン法の制定がその最たる例である。

この状況下で、スタンダードオイルも他の企業のように、1910年に連邦最高裁の判決によって、33の独立した企業に解体された。

そこで、ロックフェラー財団は医療の世界へ目を向けるのである。ロックフェラー財団は、一部の医学校が多額の授業料から得られる利益ばかりに目が行き、教育水準が低いという状況に目を付けた。そして、医学部の水準を上げるという名目で、カーネギー財団がフレクスナーに命じて国内の医学校の教育水準を示すフレクスナーレポートを発行した。

また、カーネギー財団の理事長であるフレデリック=ゲイツと、ロックフェラー医学研究所の所長であるフレクスナーは兄弟であった。
フレクスナーレポ―トの簡単な中身は以下である。医師は高度な大学院教育によってのみ養成されるべきで、科学に基づいて、石油に含まれる成分を分離させて取り出して製造した薬を用いて治療をする医学を教える学校のみ医科大学として認定するというものだった。また、同レポートは、石油から作られるコールタールによる治療も推奨した。しかし、このコールタールは発がん性の物質を含む大変危険なものであった。

そして、フレクスナーレポート発行以後、基準を満たさない学校は廃校に追いやられた。1910年に155校あった医学校は、1920年には85校に減った。廃校に追いやられた学校のほとんどが、薬の投与によって病気を治すのではなく、カウンセリングなどによって治す代替治療を行う学校だった。
中略
ロックフェラー財閥はどうであろうか。アメリカの経済誌Barron’sの1922年10月16日付の物に、1911年に解体されたスタンダードトラストの、解体後の系列会社4社(Standard oil of New Jersey, Standard Oil of New York, Standard Oil of Indiana, Standard Oil of California)の配当に回すことが可能な純利益が掲載してある。

1913年以下で、1913年から1918年までの各年の4社の純利益の合計を示す。1913年は、95978509ドル、1914年は、55842815ドル、1915年は、101964228ドル、1916年は149078134ドル、1917年は、156875179ドル、1918年は、124777997ドルである。多少の上下はあるものの、総じて純利益は上昇している。
 更に、ロックフェラー財団は、いわば自分たちの息がかかった研究機関が開発した製薬のプロモーションも行っていた。Walter Sneader著「Drug Discovery; A History」によれば、トリパルサミドという薬はロックフェラー財団が特許を有していたが、無償で製薬メーカーに製造できる権利を与えていたそうだ。

また、崎谷博征著「医療ビジネスの闇」によると、後述の鎮痛剤、アスピリンはロックフェラー一族のメディアコントロールによって使用が促進されたそうである。ここで、注意したいのが石油の主要な成分は、ベンゼン、トルエン、キシレンの三つで、このうちのベンゼンからフェノールが合成され、フェノールからアスピリンの成分である、アセチルサリチル酸が合成されることである。
中略
19世紀中期からの景気の拡大で、貧富の格差は拡大し、資本家たちは利潤を追い求めた。そして、その資本家にとっても、科学的療法は都合が良かった。
 余談だが、資本家が利益を求める反動から、しばしば資本家と労働者は対立した。例えば、ロックフェラー一族が所有するコロラド燃料株式会社では、格差に対する不満から9000人以上の労働者がストライキを起こした。それに対して、ロックフェラー一族は鎮圧部隊を送り込み、労働者やその家族30人以上を虐殺した。
引用終わり

 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=320260

シェアする

フォローする