なぜ肉食が健康に悪いのか?・・・未消化のタンパク質が腸に流れ込むと、PH値が狂い、悪玉菌が繁殖。腐敗に繋がる。

未消化タンパクについて考えてみよう

アメリカ人の死因の第一位は心疾患(多くが心筋梗塞)です。これは第一位が悪性腫瘍(がん)の日本とは大きく異なります。

私は学生の頃、カリフォルニア州サンディエゴで短期留学の経験がありホームステイをしていましたが、ホストファミリーの食事はとにかく赤身肉をよく食べていたという印象が強く、その記憶は今でも残っています。(私の姉も同じことをよく言っていました。)

動物性タンパク質は重要な栄養素がぎっしりと詰まっていながらも、一方で長期的には結腸がんとの相関があったり、また心筋梗塞との相関もあります。動物性タンパク質はこのような良い面と悪い面の二面性があるため、賛否両論となってしまうのです。

※私は良い悪いで判断するつもりはなく、ここでは、どのようにすれば良い面だけを得ることができるのかを考えていきたいと思います。それは、食べる頻度なのか、食べ方なのか、質なのか、という感じです。

動物性タンパク質の最も大きな問題は「未消化タンパク」にあります。未消化タンパクは、胃酸分泌能や消化能の低い日本人だけでなく、そもそも欧米人でさえ発生するものです。つまり、消化能を上げればこれで解決という安易な話ではありません。そもそもタンパク源はプロテインパウダーでない限り、お肉などを完全に消化することは不可能なのです。

「腸内環境を整える」にあたり、まず大切なことはpHです。pHとは、酸性寄りなのか、中性なのか、アルカリ性寄りなのかを示す指標です。pHによって腸内細菌叢のバランスが大きく変わるからです。腸内の正常なpHは(部位にもよりますが)総じて5.5~6.8の弱酸性です。

タンパク質が腸に流れてくると腸内のpHがだんだんと上がってきます(アルカリ寄りになる)。そうすると、腸内細菌全体の数が一時的に減少し、やがて悪玉菌のみが増殖します。さらにこのpH下では発酵作用が弱まり、腐敗作用が強まります。やがて未消化タンパクの窒素分がアンモニアになり、ほかインドール、スカトール、硫化水素、二次胆汁酸などの有害成分が、上昇したpH下では排泄されずに吸収されていきます。

そして、中性~アルカリ寄りのこのpH下では、腸内細菌の(アミノ酸)脱炭酸酵素によって未消化タンパクやアミノ酸由来の腐敗アミン類やアルデヒド類が多く生成されてしまいます。このアミン類とはたとえばチラミンやヒスタミンなどです。

チラミンのような腐敗アミン類のほとんどが交感神経作動系でノルアドレナリンを促進するため、これが腸内で一時的に大量に吸収されてしまうと、非常に大きな発作(血管収縮、けいれん、心拍数上昇、組織障害作用)を起こしてしまうのです。※実際に、世界25カ国61地域の各民族の血液や尿を採取して回った家森先生(京大)は、遊牧民(高脂肪高タンパク)には晩年突然死が多いということを言っておられましたが、納得できます。

しかし、ここで野菜などの食物繊維や発酵食品などを同時に摂ると、短鎖脂肪酸や乳酸によってpHを上げないように調整されます。このような状態では大腸からアンモニアなどの有害成分は吸収されないようになりますし、腐敗アミン類も生成されにくいのです。

私たちの腸内pHは便検査によってもわかりますが、排泄物の色でもわかります。排泄物の色は基本的に胆汁の色のため、正常なpHであれば胆汁は黄土色となります。しかし、アルカリ性寄りの腐敗環境であると、黒に近いこげ茶色になります。(当然、カタチ、ニオイも指標になります。)

大豆のようなタンパク源であれば、食物繊維やオリゴ糖なども一緒に含まれるため、腸内のpHをほとんど上げずに消化できます。ただし、大豆だけをメインのタンパク質にするのは栄養価として偏ってしまいます。やはり、魚やお肉もバランスの中で摂取していくことが肝心です。そのとき腸内pHのことを考慮するのなら、野菜も同時に食べることです。

未消化タンパクは非常に難しい問題で、このようにタンパク由来の腐敗アミン類やアルデヒド類を生成させ、大量に一挙に吸収されてしまうと、高齢において心臓発作の引き金となるのです。これを解決するには、お肉を細かく切って本当によく咀嚼すること、消化能を上げること(消化酵素サプリを併用する?)などが挙げられますが、現実的に出来ている人はそういないでしょう。実際にそれがどこまで有効かもわかりません。そう考えると、まずは腸内pHを維持するために、やはり野菜・全粒穀物や発酵食品(ビフィズス菌、乳酸菌など)の同時摂取も必要となってくるのです。

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