ドイツ銀行がいよいよ経営危機に陥って、混沌が世界を覆う ②

ドイツ銀行がいよいよ経営危機に陥って、混沌が世界を覆う
リンク)より転載

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(①の続き)

■存続の危機に陥ったドイツ銀行。このままでは倒産

 現在、ドイツ銀行は(LIBOR)での不正操作の件で数千件もの訴訟を起こされており、さらに住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売で米司法省から最大140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求められている。

すでに経営悪化で首が絞まっているところに多額の和解金を請求されているわけで、これによってドイツ銀行は存続の危機に陥り、倒産する可能性も見えてきた。

かつて160ドル近くあった株価は、今や11ドル程度でしかない。すでに市場や投資家はドイツ銀行を見捨てており、事実上の倒産価格でもある。

 今、ドイツ銀行の危機は最終局面に入っていると言っても過言ではない。

これについてドイツのメディアは「ドイツ政府がドイツ銀行を救済する準備がある」と報じたのだが、今度はドイツ政府が「そんな予定はない」と反論し、このドイツ銀行を巡るドタバタで9月29日の株式市場は大荒れとなった。

ドイツ銀行が崩壊すると、ドイツそのものが崩壊するも同然である。そのため、今は「救済しない」と言いながらも、最終的にはドイツ政府はこの銀行を救済せざるを得ないだろうと予測されている。

 「大きすぎて潰せない」のである。

ただ、ドイツ政府が救済に動いたとしても、凄まじい負債を抱えたこの銀行を政府が救いきれるのかどうかという疑問は以前として残る。

75兆ドル(約7500兆円)のデリバティブのうちの10%が損失を出して清算を迫られても、ドイツ政府は救済する資金を捻出することはできないだろう。

 仮に奇跡的にデリバティブをうまく乗り切っても、すでにドイツ銀行の負債総額は260兆円にものぼると言われており、ドイツ政府はそれを捻出する金もない。

■金融市場も大混乱に見舞われ、世界は危険になる

 ドイツ銀行はもう単独の組織体として生き残れない段階にまで到達している。

ドイツ政府は自分たちが財政赤字を膨らませるのを嫌って、ドイツ銀行に乱脈融資をさせていたのだが、それがいよいよ限界に来たということだ。

ドイツ政府の失策のツケをドイツ銀行が払うわけだが、ドイツ銀行が死ぬときはそのツケはドイツ政府に返ってくる。つまり、最終的にはドイツ政府が窮地に追いやられることになる。

ドイツが窮地に追いやられるということは、とりもなおさずEUが危機に陥るということでもある。

すでに2016年6月23日にイギリスがEUを脱退してパンドラの箱は開いた。

 移民・難民政策に国民の反発を受けた他のEU諸国も国民投票を行ってEUからの脱退を目指すかもしれないと言われている。たとえば、ハンガリーやオーストリアはそうした国民投票を行う可能性が高い国だ。

そうなったとしても、ドイツ国内でも移民・難民政策の失敗からメルケル政権が見捨てられつつあるのだから、他国をEUにつなぎ止めることができない。ドイツが窮地に落ちると共に、EUも危機に落ちる。

これは、つまりEUという市場が消えていくことでもある。これによってグローバル経済はさらに不安定となり、規模が縮小していく。

2016年に入って中国経済の異変が隠せなくなり、ブラジルやベネズエラが政治・経済の危機が深刻化した。ここにドイツとEUも加わる。

 世界経済はどうなるのか。もちろん、混乱するのである。グローバル経済がうまく機能しないのだから、全世界の企業が売上を落とし、金融市場も大混乱に見舞われるのは当然だ。

そして経済の悪化は移民・難民の排斥や貧困層の暴動を誘発しやすくなる。また、各国政府は自国の不満を他国のせいにするようになり、世界は危険なものになる。

こうした中で、アメリカの大統領選挙が行われているが、新大統領は混乱を収束させる力量があるだろうか。それとも、混乱をより増長させるのだろうか。何も分からない。

ただ、誰も何も言えない混沌が待っているのは確かだ。

 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=320241

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