【宇宙気候】 「氷期-間氷期サイクル」の根本原因は、本当に太陽から地球に届く光量変動なのか?

■太陽から地球に届く光量
地球の気候変動の要因に、太陽から届く光エネルギー量は、一般的に受け入れられている。
太陽活動は11年周期で変動するが(318104)、太陽から放出される光量の変化率は0.1%(=1W/㎡)と小さく、それは地球気温換算0.5℃程度である。しかし、太陽から放出される光量の変化は小さくとも、地球に届く光量は大きく変化する。

その一番の要因は「太陽と地球の距離である公転軌道の変化」。太陽系の惑星は、太陽やその他の惑星の重力的作用によって揺さぶられ、公転軌道が周期的に変化する。地球の公転軌道は、完全な円ではなく少し楕円になっており、その楕円の扁平の度合い(=離心率)が、10万年のリズムで周期的に変化する。
その次の要因として「地球の自転軸の傾きの変化」。地球は、太陽を公転する面に対して垂直方向を軸にして自転しているが、完全な垂直方向に対し少し角度をもっている。この角度をもつことで公転軌道を1周する間に、太陽からのエネルギーをどの緯度でどのくらい受け取るかという分布が変わる。これが季節変化の原因となる。この自転軸の傾きも、約4万年の周期で約22~24.5度の間で変化する(※現在は約23.4度)。自転軸の傾きが小さくなると季節変化が小さくなる。
もうひとつの要因が「自転軸の向きの変化である歳差運動」。自転軸は現在、こぐま座α星のポラリスの方向を指し、この星が現在の北極星。ところが時間とともに、自転軸が指す方向が2万年周期で変わるため、約1万年後には、こと座ベガ(織女星)が北極星になる。その為、公転軌道の変化と組み合わさると、公転軌道上で太陽に最も近いときに北半球が夏になったり冬になったりの違いが生じる。

■(公転軌道の周期と同じ)10万年周期の「氷期-間氷期サイクル」
樹木年輪、極氷床、海底の微生物・地層、氷河性砕屑物などの同位体分析から、過去100万年間は「氷期-間氷期サイクル」が約10万年周期で繰り返されてきたといわれている。約9万年ほど氷期が続くと、そのあと約1万年ほど間氷期が訪れるという。氷期になると、極域の氷床が拡大し、北アメリカ大陸北部などの広い範囲が氷に覆われ、間氷期になると、それが北極海周辺にまで縮小する。
この大変動の根本要因は、夏の日射変動であると考えられている(ミランコビッチ理論)。リンク

<最終氷期の概要>
・一番新しい氷期(=最終氷期)は、約7万年前に始まり1万年前に終了。(※氷期が9万年間ではなく6万年間なのは、なんで?)
・最終氷期では、2.1万年前に最寒冷期(2000年間)を迎え、気温は年平均7-8℃低下し、最も氷床が拡大。
・そのあと1.5万年前頃に温暖化したが、1.2万年前のヤンガードリアスから寒冷期に戻り、1万年前頃から間氷期に入り温暖化。
・間氷期に入ってから、8200年前にミニ氷河時代を迎えるが、7800年前頃から再び温暖化し、約6000年前に気温のピークを迎える。この時、極域の氷が大量に融けて海水準が100m以上も上昇する(縄文海進)。
・その後は、気温も海水準も低くなっていっている。
→現在は、間氷期の温暖化ピークを終え、大きくは次の氷期に向かって寒冷化している段階だが、いつ現在の間氷期が終わり次の氷期が始まるのかは、まだよくわかっていない。

■「氷期-間氷期サイクル」の根本原因は、本当に太陽から地球に届く光量変動なのか?
公転軌道の変化により地球に届く光量は、比較的に緩やかにアップダウンを繰り返し変化するのに対し、地球の気温変動パターンは一致せず、急激な温暖化と緩やかな寒冷化を繰り返している。
この矛盾する要因は、日射と氷床・海水・地殻・大気の関係でおこる地球のフィードバック作用で説明される。
しかし、光量の変化だけでは、海水準変化に換算して約130m相当におよぶ大氷床の拡大・縮小や全球気候の変動を説明するにはとうていエネルギー量が足りず、太陽から地球に届く光量だけで、氷期-間氷期サイクルを説明するのは無理がある。

太陽からの光量よりも遥かに大きいエネルギーである、太陽フレアにともない放出される荷電粒子の太陽宇宙線(319263)、さらには太陽圏外からの銀河宇宙線(319669)が、氷期-間氷期サイクルの気候変動をおこしている可能性はないだろうか。
太陽・宇宙のダイナミックな磁場変動、それにともなう宇宙から地球に降り注ぐ放射線の量が、(公転軌道の10万年周期の影響も被さり)変動し、氷期-間氷期サイクルをおこしている可能性の方が高いのではないだろうか。

 

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