ダムは永久にエネルギーを生む「夢の装置」だ

以下(リンク)引用
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■ダムは半永久的に壊れない

私は、ダムは、半永久的にエネルギーを与えてくれる、とてつもない装置だと思っている。

その大前提として、「ダムは壊れない」という事実がある。

あの東日本大震災のとき、東北の広い地域で震度7や6強を観測した際、農業用の貯水池は破損したが、本体が壊れたダムはなかった。日本は地震国であり、明治以降にも頻繁に大きな震災が起こっているにもかかわらず、全国の何千というダムには、ダム本体が壊れた例はない。

私のようなダムの専門技術者にとって、地震でもビクともしないダムの堅固さは当たり前なのだが、一般の方には理解されていない。ダムの真価を知ってもらうには、このダムの安全性を理解していただく必要がある。なぜなら、ダムが壊れないということは、半永久的に電力を生み続けられるということを意味するからだ。

ダムが壊れないといっても信じてもらえないのは、ダムをビルなどと同様に考えている人が多いからだ。だが、ダムは事情が異なる。コンクリートダムは、ビルなどの構造物とは同じではない。

■少なくとも200兆円分の富が増える

実際には、すべての降水の位置エネルギーを電力量に変換するのは不可能で、これはあくまで理論値だ。現在の水力発電の電力量は900億kWh強であり、理論値には程遠い。現実にどこまでの開発が可能かは、技術と経済の状況次第となる。少なくとも、運用変更とカサ上げは今すぐにでも実現可能である。全国のダムについて試算してみると、運用変更とカサ上げだけで、343億kWhの電力量を増やせると試算される。

さらに、現在のところ発電に利用されていない中小ダムを開発することは、技術的には何ら問題ないし、再生可能エネルギーの固定買取制度のおかげで、経済的にも好条件となっている。

中小水力発電については、開発可能地点の試算が調査によって違っていて定説はないが、少なくとも1000億kWhほどの電力量が増やせるといわれている。運用変更とカサ上げで約350億kWh、これに1000億kWhの電力量を加えれば、1350億kWhの増加となる。

すると、水力全体で2200億kWh以上となり、日本全体の電力需要の20%を超える。これだけの純国産電力を安定的に得られる意味は非常に大きい。といっても、kWhなどという単位でご説明しても、直感的にピンとこないと思う。電力を金額に直したらどうなるか。仮に、水力発電の電力量が現在より1000億kwhだけ増加したとする。

将来の電力料金がいくらになるかは予想できないので、現在の料金で考えよう。家庭用電力料金では、平均して1kWhあたり20円だとすると、1000億kWhの電力料金は、年間約2兆円分に当たる。

つまり、少なく見積もっても、純国産のエネルギーが毎年2兆円分も増加するわけだ。

しかも、発電に最も重要で巨大な投資を要するダムは、半永久的に使える。仮に100年しか使えなかったとしても、年に1000億kWhの電力量の増加は、100年分で200兆円分の電力を余計に産んでくれる計算になる。

つまり、ダムとは、この先の日本に、200兆円を超える富を増やしてくれる巨大遺産なのだ。この遺産を徹底的に活用すべきである。このような議論を展開するのは、日本の100年後、200年後の将来を考えるからだ。子孫たちがダムという遺産に感謝する時代が必ず来る。

未来のためにも、今生きている人間が、ダムという遺産を存分に活用するための道筋を作っておくべきだ。これが、ダムを建設してきた先人たちの強い思いなのである。

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