春野菜や春草の解毒作用の考え方:植物は動物や病原菌・ウイルスから身を守るための生物毒を保有しています。特にこの時期に採れる春の野草がもつ生物毒(フィトケミカル)は、人間には偶発的に薬理作用をもたらすことがあります。

春野菜や春草の解毒作用の考え方

植物は動物や病原菌・ウイルスから身を守るための生物毒を保有しています。特にこの時期に採れる春の野草がもつ生物毒(フィトケミカル)は、人間には偶発的に薬理作用をもたらすことがあります。

例えば、アブラナ科に含まれるイソチオシアネートは、虫や動物の種類にとっては毒ですが、人間にとっては無毒化できる物質または薬理的に利用できる物質でもあります。これを選択毒性といいます。ミトコンドリア活性が低い幼少時は肝臓での解毒代謝が低いといわれているため、積極的に野菜を与える必要はないと思っています。むしろ、子ども達は野菜を嫌がることが多いでしょう。

これらのフィトケミカルが本質的に良い物質なのか悪い物質なのかという二元論で判断するのではなく、薬にもなり毒にもなりうるという中立性で判断した方が良いでしょう。しかし、現存の食用野菜で体を壊すことは、極端な菜食主義でない限り、まずありえません。適量であれば、無毒化されるか薬理作用にまわされるでしょう。

さて、この時期は(食用または雑草の)菜の花が多くみられます。菜の花は一般にイソチオシアネートの前駆体物質であるグルコシノレートの含有量がとても多い植物です。このイソチオシアネートは、抗がん作用があるといわれています。その抗がん作用のシステムは複合的に絡みますが、その一つにシトクロムP450という酵素群の働きを阻害して発がんを防ぐ作用があります。

シトクロムP450を阻害して発がんを防ぐぐらいなら、シトクロムP450は悪玉酵素なのだろうかと思うかもしれません。実はむしろ逆でとても大切な酵素群なのです。この酵素は、多くの脂溶性の薬物を解毒代謝します。他にも、ステロイドホルモンの生合成や脂肪酸代謝など、非常に重要な働きをします。

一方、シトクロムP450はがん原物質を発がん物質に誘導活性することもわかってきました。このためシトクロムP450を阻害することはある意味、がんを抑制させることができると考えられています。しかし、この発がんの原因は、有害な化学物質や生活習慣などのため、シトクロムP450は濡れ衣を着せられていることになります。

結論ですが、現況の文明社会では汚染物質や生活習慣などにより、発がん率が上がっている可能性があるため、これらの薬理作用を利用するのは一つの手です。冬は脂溶性食品の摂取機会が増え、微量の毒素も同時に蓄えているかもしれません。よって、この春の季節で出てくる野菜や野草の成分を利用して、解毒していくのは現実的な手であるでしょう。

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