糖質制限の勘違い・・・糖質制限推進派の医師たちの論理にも問題や間違いがあることは事実。

糖質制限の勘違い

最近では糖質制限に対する批判もよく目にするようになってきましたが、その論理的根拠が、医師と名乗ってはいても実際に臨床は行っておらず、情報商材ビジネスで飯を食ってる怪しい人間の自費出版の本が根拠だったりするから、全く持ってお話になりません。砂糖研究基金(SRF)の資金で行われた研究ばかりを取り上げて論理を構成しても、砂糖産業の提灯持ちとしか思われないのがオチです。

とはいえ、糖質制限推進派の医師たちの論理にも問題や間違いがあることは事実です。というわけで、今日は僕がよく見かける、糖質制限派の人たちの勘違いについて解説しましょう。

まず、糖質の過剰摂取自体が肥満や糖尿病の根本原因ではありません。糖質といっても色々な種類がありますが、基本的に吸収されるときは単糖まで分解されてから吸収されます。ご飯やパン、麺類といったデンプン質の食べ物は、ブドウ糖まで分解されてから吸収されます。

実はブドウ糖は、肥満や糖尿病発症の根本原因ではありません。今から100年ほど前の日本では、米をはじめヒエ、アワ、キビ、麦といった雑穀を主食としていました。しかしこの当時、日本に肥満の人はほとんどいなくて、糖尿病は非常に珍しい病気でした。当時の日本人の栄養摂取の約9割が糖質だったうえに、平均摂取カロリーも現在より多かったのにです。

他にもニューギニア高地に住む先住民族は、その主食をサツマイモに頼っています。彼らもまた、非常に多くの糖質を摂取していますが、やはり肥満も糖尿病もほぼみられません。糖質そのものが肥満や糖尿病発症の根本要因となっていないことは、そのほかの事例からも明らかです。

では肥満や糖尿病は何によって起こるのかというと、それは「砂糖」です。SRFのお抱え学者は、「砂糖は炭水化物の一種であり、代謝上他の炭水化物と何ら変わらない」と主張してきました。栄養学ではそう考えられていますが、実は生化学ではそう考えられてはいません。砂糖はブドウ糖と果糖がくっついた二糖類です。なので砂糖を摂取すると、50%ブドウ糖と50%果糖となって吸収されます。

この内ブドウ糖に関しては、お米や小麦、ジャガイモといったデンプン質を摂取した場合のブドウ糖の代謝と全く同じ代謝をします。これに対し、果糖はブドウ糖とは全く別の代謝をするのです。そして果糖の最大の特徴は、インスリン抵抗性を増大させ、インスリンの過剰分泌(高インスリン血症)を引き起こすことにあります。

インスリン抵抗性と高インスリン血症が、メタボリックシンドロームの本態であり、これらは砂糖(果糖)が引き起こすのであって、糖質が引き起こすのではありません。とはいえ、一度インスリン抵抗性が生じてしまうと、糖質の摂取はインスリンのさらなる分泌を促し、インスリンのさらなる分泌がインスリン抵抗性を増悪させるという悪循環を引き起こします。

このメカニズムを理解していれば、糖質制限の本当の意義もまた、良く分かるでしょう。そしてまた、糖質制限を長期に続けると危険という意見も、SRFのお抱え研究者が行ったお粗末な実験に基づいているにすぎません。というか、実際は糖質制限を長期に行った場合の影響なんて、調べられてはいないのです。調べていないことをあたかも調べたかのように話し、事実のように話す人は、いわゆる詐欺師ってやつですね。

糖質制限を長期に行うとどうなるかは、糖質をほとんど摂取しない先住民族や伝統集団、すなわちアフリカのマサイ族、モンゴルの遊牧騎馬民族、アラスカのイヌイット、シベリアのネネツ族などを調べれば、危険は全くないってことがよく分かるでしょう。

糖質制限に関する議論は、推進派にしても、反対派にしても、論理的根拠がお粗末すぎます。僕に言わせれば、もっと勉強してくださいってこと。単なる趣味で食と健康に関して調べている人ならそれでも良いかもしれませんが、人を指導する立場であれば、知らなかったではすみません。正しい知識が普及するよう、僕も務めていきたいと思っています。

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