赤ちゃんはどうしてもよく泣くものだと私たちは理解していますが、実は伝統社会で育てられたアフリカの赤ちゃんは無駄に泣かない。

アフリカの赤ちゃんは無駄に泣かなかった

赤ちゃんはどうしてもよく泣くものだと私たちは理解していますが、実は伝統社会で育てられたアフリカの赤ちゃんは無駄に泣きません。伝統生活を維持している部族では、もし赤ちゃんが泣き始めたら、何か特別な問題や原因がある時だとされています。

この話は有名ではありますが、私がいくつかのタンザニアの部族に訪問した時に改めて実感しました。この背景には、「抱っこや添い寝によるスキンシップ」と十分な「母乳栄養」が関係していると考えられます。

基本的にどの哺乳類でもスキンシップによる皮膚への刺激がないと生きていけません。皮膚刺激によって、循環器系、泌尿器、免疫系、神経系、呼吸器官、胃や腸の消化器官をすべて刺激します。人間以外の哺乳類では、赤ん坊の前身をきれいになめる行為やなでる行為がそれにあたるといわれています。生まれる前の赤ちゃんは、体温と同じ温かい羊水と、お母さんの子宮の壁にべったりすることで皮膚感覚を刺激しています。

赤ちゃんと肌刺激の研究では、文化人類学者マーガレット・ミードの研究が有名です(1930年代)。

ミードの研究では、当時未開の地であったニューギニアにおいて、母親からの徹底した抱っこと可愛がられる時間が長かったアラベッシュ族の幼児たちは穏やかであり、成人になる頃には協調性に富み、思いやりが深く、戦争を嫌う性格が強かったそうです。一方、育児嫌いの母親から育った、肌をめったに密着させない放任的なムンドグモール族は、怒れる若者に育ち、攻撃的で争い事が好きであったと報告されています。

また、母乳栄養が不足していると、幼児は泣きわめくことで、本能的にシグナルを出し続けます。タンザニアの伝統社会では常に母親と一緒にいて、赤ちゃんが欲しがるときは母乳を与え続けます。ちなみに、先述の好戦的性格をもつムンドグモール族は、幼児がまだ満足するほど飲まないうちに乳首を口から引き抜いてしまうことが多かったそうです。

離乳食についても完全に離乳して与えるのではなく、幼児が欲するまではきちんと母乳を与え続け、離乳食というよりは補完食として栄養補助していく考えです。特に母乳には鉄、マグネシウム、ビタミンDなどが少ないため、これらを徐々に補完食で補う必要があるのかもしれません。この方法はモンゴル遊牧民でもそうでした。(伝統社会ではビタミンD補給は日光浴で体内合成させるのでしょう。)

このように、伝統社会で生きているアフリカやモンゴル遊牧民では、無駄に泣く赤ちゃんはあまり見られませんでした。私たちの社会ではなかなか難しいこともあるかもしれませんが、どこか大きなヒントが隠されているように思います。

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