巷の歯医者の治療のひどさには毎度辟易していますが、奥さんが言うには「周りの歯医者がひどいから、あんたの歯医者が成り立ってる」ということなので、まあしょうがないなと思うことにしました。
それでもやっぱり腹の立つことはあります。言い出せばキリがありませんが、巷の歯医者に言いたいことの一つに「患者の治療の選択肢を奪うな」というのがあります。
これはどういうことかというと、お口の中全体の状態と、治療が必要な部位を診た時に、治療法が一つということは無く、通常は複数存在します。それぞれ利点、欠点があり、治療期間や費用、患者の負担が変わります。患者はその選択肢の中から、自分の受けたい治療を選ぶべきなのです。
本来は考えられるすべての選択肢を与えたうえで、患者に治療を選ばせるべきなのに、選択肢を与えない歯医者が多すぎるのです。本来受けられるはずの治療法が提示されないというのは、患者の権利を奪うということになります。それはあってはならないことだと僕は考えています。たとえ診察した歯医者ができない治療であっても、治療法自体は説明すべきだし、自分で出来ない治療なら、出来る歯医者に紹介すれば良いだけです。
こういったことは巷の歯医者では本当に良くあるだけでなく、大学の付属病院であっても良くあります。まあ大学の附属病院は研修病院であり、高度で良質な医療を提供する場ではありませんから、しょうがないのですけどね。
ちなみに今回添付した画像は、当クリニックで治療した患者の術前、術後です。元々は右上第一大臼歯の歯の痛みで来院されたのですが、欠損歯があったり、状態の悪い歯があったりして、また歯並び・咬み合わせ的には上顎前突（いわゆる出っ歯のこと）だったため、矯正治療を勧めました。矯正はしたいけど、仕事柄装置を表につけることはできないということで、舌側矯正をすることになりました。
術後写真を見て分かるように、下顎両側知歯（親知らず）が健全歯で残っていたので、舌側矯正でこれを並べることにし、状態の悪い下第二大臼歯は抜歯しました。こういう治療の選択肢は、ウチ以外の歯医者では一度も受けたことが無かったそうです。
ウチは予防歯科専門ですが、歯科治療も一通り行っています。治療に際しては、患者が受けられる治療の選択肢を奪わないように心がけています。全ての治療の選択肢を説明し、それぞれの利点、欠点を理解してもらったうえで、納得できる治療を選択してもらいたいから、それがウチのポリシーです。
