「虫が食うほど美味しい野菜」は本当なのか?虫は本当に窒素過多の植物を好むのか?

「虫が食うほど美味しい野菜なのか」
(ちょっと長いですが重要な栽培知識です)
虫は窒素が多い作物を食う。虫は窒素が大好きである。
と、当たり前のように言われるけど、この際だからハッキリ言うが、そんなはずはないと僕は思う(笑)。
どこからこの話が来たのだろうか。いや、嘘をついているとは思っていない。多くの人の経験則から広がったのだろう。それを鵜呑みにして、さらに広がる。
虫が食うほど美味しい野菜と言うが、窒素は苦味になるので、これが本当ならば、虫が食うほど苦い野菜にならなければならないはずだ。もちろん虫が食うとファイトケミカルが出るので、更に苦味になるはずである。
虫の身体はタンパク質で出来ている。だから、虫はタンパク質を求める。タンパク質を構成する四つの元素は、炭素、酸素、水素、そして窒素であるから、水や空気から得る炭素、酸素、水素以外に、窒素が必要なのは間違いない。
植物が体内に溜め込んでいる窒素は、硝酸態窒素という形であるが、これを好んで虫が来るはずがない。動物にとっては、硝酸化された窒素など実は「必要ない」からだ。必要ないから、普通、体内から排出してしまう。
動物や虫が必要なのはアミノ酸のはずだ。このアミノ酸がタンパク質の元になる。アミノ酸は虫の体内では合成出来ないので、アミノ酸を求めているというのが正しい。そしてそれを消化すれば窒素もあり、タンパク質を構成できる。
もう一つは糖だ。糖によって炭水化物を合成して、虫は自分の身体を作り上げていく。そういう仕組みになっているのである。
つまり、虫が欲しがっているのは、窒素ではなく、このアミノ酸と糖なのである。
植物は糖は光合成で作り、アミノ酸は、土の中の硝酸態窒素を吸収して作り出す。だから、窒素過多の植物には、アミノ酸生成が加速し、結果的には虫がたくさん来ると言うことなのであろう。
ちなみに、アミノ酸が多いと、アミノ酸受容体のおかげで、人は旨味と感じる。だから、虫がアミノ酸を求めるならば、虫が食うほど美味しい野菜という方が正しいという事になる。さて、どっちが正しいのか(笑)。
話はここで終わらない。
アミノ酸を作るために、植物は硝酸態窒素を吸収するが、その時にリン酸を使う。なので、実は土の中にリン酸が多いと野菜は窒素吸収が進んでアミノ酸過多になり、虫食いが激しくなる。多分、こちらの方が真実だ。
リン酸が多いといえば鶏糞だろう。牛糞もそこそこ多い。だから、鶏糞や牛糞過多の畑の野菜は虫食いが激しくなる。更に、分解しきれていない牛糞や鶏糞は、糞を食する虫も増えるため、野菜に大量の虫が付く。
僕の経験では、虫が多い畑は、いわゆる牛糞や鶏糞を過多に与えている畑である。 化成肥料でも増えるが、有機肥料ほどは増えない。
窒素は、普通、窒素固定菌によって土の中に適切な量を与えられるものである。だから外から人がわざわざ与える必要性はない。
だが、人は栽培を急ぐために、牛糞や鶏糞を与え、それによってリン酸と窒素が過剰になり、野菜のアミノ酸生成が進む。野菜は甘みを感じるようにはなるが、同時に虫食いが増え、ファイトケミカルも出て、結局は苦くなっていく。

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