肉食と穀菜食の比較

肉食はドーパミンを、穀菜食はセラトニンを増やす。その結果、肉食民族は欲望増幅型の物質文明を生み出し、穀菜食民族は、自然との共生文明を生み出したのではないか。
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医学と生命 松本 英聖 医事論集 – 技術出版
より
ーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーー
●肉食はドーパミンを増やす
 今述べたように、人間に快感をもたらすA10神経(A系列神経)を初めとして、人間の感情(喜怒哀楽)を支配するのは、すべてドーパミン系の神経ホルモンである。
これに対して、睡眠(休養)を与えるB系列神経はセロトニン系ホルモンで作動する。つまりドーパミン(覚醒・快感ホルモン)とセロトニン(睡眠ホルモン)とは、まさに脳の中枢における陰・陽の関係にあり、その調和によって人間の情動が支配されるわけ。この陰・陽の調和が乱れると、例えばA10神経の活動が異常昂進すると精神分裂病、反対に極端に低下すると欝(うつ)病になることが明らかにされてきた。
 ところで、ドーパミン系ホルモンはアミノ酸チロジンから、またセロトニンはアミノ酸トリプトファンからそれぞれ脳内でこしらえられることを思い出して頂こう。そして前者は蛋白質(肉食)、後者は炭水化物(穀菜食)によって、それぞれの脳内濃度が高まることも述べた。
 そこで賢明な読者はもうお気付きだろうが、肉食の過剰は脳内ドーパミンの作用を高めて、恐れ・怒り・憎しみなどの感情を強めると共に、快感を求めて欲望に走りやすい性格を作る。これに対して、穀菜食の場合は、セロトニンの抑制作用によって、己れの分を弁え、足るを知って、自然の恵みに感謝し、辛抱強い性格を培うであろうことは容易に想像できる。事実このことを示唆する興味ある研究が報告されている。
 テンプル大学(フィラデルフィア)の研究チームは、慢性顔面痛の患者三十名を対象に、低蛋白・低脂肪の食事を一ヶ月間摂らせ、その間条件群にはトリプトファンを与え、コントロール群にはプラセボー(偽薬)を与えた。
その結果、トリプトファンを与えたグループは痛みが顕著に軽減し、またプラセボ一群でもこの食事だけでかなり痛みが弱まった。
 このように、穀菜食は痛みに対する感受性を弱める働きがあるわけで、実際、穀菜食を常食としている民族は、一般に辛抱強い。
 往年の日本の産婦や、今でも素食を常食としている途上国の産婦たちは比較的安産であり、お産の苦しみも少ないことが知られている。
 一方、高蛋白の美食・飽食を恣(ほしいまま)にする文明社会では、痛みや苦しみに対して極めて過敏に反応する。現に今、アメリカのお産は殆どが麻酔分娩であるが、日本でも次第にこの傾向が増加し始めたことは、この辺の事情を雄弁に物語っていると言えよう。
 ところで、A10神経にはもう一つ重要な側面がある。それはこの快感神経が、人間の二大本能(食欲と性欲)を支配する視床下部(本能の座)のど真ん中を走っていることで、詳しく説明すると、視床下部の後部に体温調節中枢、真ん中に食中枢、最前部に性中枢がある。
 食中枢はさらに摂食中枢(食欲を起こす中枢)と満腹中枢(摂食中枢の内側にある)とがあり、性中枢については大村裕教授(九州大学・生理学)によって、前面に「性欲を感じる中枢」、後部に「性行為の中枢」のあることが明らかにされている。
 これらの《食と性》の中枢は僅か数㍉の間に存在し、そこをA100神経が走っているが、その関係はまだよく分かっていない。しかし、食・性両本能の満足が無上の快感であることは誰しも認めることであるから、それを求めれていることはまず間違いないであろう。

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