東洋医学:五行説とは万物は5種類の元素から成るという考え方。人体の働きや機能は五臓(肝、心、脾、肺、腎)に分けられる。

東洋医学の基本
陰陽は、古代中国の自然哲学の思想である。自然を二元論で観察すると、天と地、山と海、日なたと日かげ、昼と夜、男と女、寒と熱などのように二つの相対する事象があり、しかもそれらがバランスよく調和している。人体においても同様の調和が保たれることにより正常の運行がなされていて、このバランスがなんらかの原因により乱れたときに病気になると考える。このような発想で、病人を陰(に傾いている人)と陽(に傾いている人)の2群に分けるが、薬についても陰と陽の2群に整理して、陽の患者には冷やす作用(陰)の薬を用い、陰の患者には体を温める作用(陽)の薬を用いる。
虚実は体質を考えるときや病状を考えるときに最も重要な概念である。一言でいえば虚とはエネルギーが枯渇している状態であり、実はエネルギーが余っている状態である。基本的に虚であるものには補う薬を用い、実であるものには瀉(しゃ)(出す、発散する)薬を用いる。陰であるから虚とは限らず、陽であるから実とは限らない。たとえば体力があっても女性で心が落ち着いている人もいる。また、見かけにだまされないようにする。からだは大きくても虚弱体質な人もいるからである。さらに体質と病状では虚実の見方が異なることがある。たとえば体質が虚であっても精神病の極期にあれば、病状は実と扱って薬を選ぶことがある。
漢方医学では、生体の異常を説明する生理的因子として、気・血・水の概念が用いられる。気は中国思想全般を通じて最も重要な概念である。医学上では生体を充実した状態に保つものとして、血と並ぶ二大生理因子の一つとなっている。気の異常は“こころ”と“からだ”を結ぶ機能系の異常を示し、現象的には自律神経異常やエネルギーの停滞などにより引き起こされる。これらの病状は“上昇”“変動”しやすいという気の性格に起因している。気が上りすぎると元気になりすぎて「気逆」となる。閉塞すると「気うつ」となる。気逆になると怒りやのぼせなどの症状が、気うつになると文字どおり気力低下などの症状が出てくる。血は現象的には血液とその代謝物であり、全身を自律的に巡り細部の組織にまで栄養を与えるが、気によってさらに高次の制御を受けている。血の特有な性格は“停滞あるいは下降”である。血の停滞は主として微小部の循環障害をさし、これを瘀(お)血(けつ)とよぶ。血そのものが少ない場合は血(けっ)虚(きょ)という。瘀血があると月経の不具合、血行不良、冷えなどの症状がみられ、血虚があると貧血、皮膚乾燥、抜毛などの症状がみられる。水は血から別れたものであり、現象的には血液以外の液体成分である。水は血と同じような“停滞あるいは下降”の性質をもつ。そのことを水毒(すいどく)あるいは水滞(すいたい)という。水毒(水滞)では、むくみ、めまい、尿の異常、口渇、そのほか湿気や水にまつわる症状がみられる。
五行説とは、万物は5種類の元素から成るという考え方である。この考え方に基づいて、人体の働きや機能は五臓(肝、心、脾、肺、腎)に分けられる。五臓がどのような状態にあるかをみることは漢方薬を選ぶ指針となる。
五臓それぞれに、悪くなるとどのような感情が現れるか、どの身体器官に症状が現れやすいかなどが理屈づけされている。この対応は現代医学との関連も深く、診療上参考になることが多い。
五臓の表(一部抜粋)
五臓 病症 傷み易い場所 味
肝 怒   筋    酸
心 喜   脈    苦
脾 思   肉    甘
肺 憂   皮毛    辛
腎 恐   骨   齒+成
感情との対比として:(逆もありうる)
・肝が悪いと怒りっぽくなる
・心臓が悪いと喜びすぎたり躁になったりする
・脾(胃腸)の悪い人は考え過ぎて思い患いしやすい
・肺の悪い人は憂いやすい
・腎の悪い人は諸事に恐れおののく
味との対比として:
・酸っぱいものが好きであれば肝を悪くする
・苦いものが好きであれば心を悪くする
・甘いものが好きであれば脾(胃)を悪くする
・からいものが好きであれば肺を悪くする
・塩からいものが好きであれば腎を悪くする
身体器官との関係:
・肝が悪いと筋(スジ)が傷む、肩などがこる
・心が悪いと脈が乱れる、動悸がする
・脾が悪いと脂肪が減る、もしくは増える
・肺が悪いと皮膚が弱り、皮膚の毛も弱る
・腎が悪いと骨が弱る

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