【糖質】糖尿病になると唾液中のブドウ糖も増え、虫歯になりやすい状態になる。

高血糖と唾液
人間の血糖値は空腹時でもだいたい80~100mg/dlほどを維持しています。血糖値コントロールが正常なら、食事で血糖値が上昇しても140mg/dlを超えることは無く、また70mg/dlを下回ることはありません。
糖尿病になると血糖値が継続的に高くなり、170mg/dlを超えると、腎臓からブドウ糖が尿に漏れ出てくるようになります。尿に糖が混じるから、「糖尿病」という名前なのですね。
糖尿病の人は歯周病もさることながら、むし歯が多いことも良く知られています。というのも、糖尿病の人の唾液を調べると、ブドウ糖が検出されることがあります。唾液には通常ブドウ糖は含まれません。唾液には重炭酸イオンが含まれていて、発酵性炭水化物(要は砂糖)から口腔細菌が酸を作り、歯を溶かすのですが、唾液の中和作用と再石灰化作用によって、歯は守られています。
ところが、唾液のブドウ糖が口腔細菌に継続的に栄養を与え続けるため、唾液の緩衝能を超えて口腔内が酸性となり、むし歯になりやすくなるのです。また、糖尿病では口腔カンジダ症が多いことも知られています。カンジダ菌は酵母菌(イースト菌)の仲間であり、糖を好んで繁殖します。だから糖尿病患者にカンジダ菌症の人が多いのです。
唾液は唾液腺という腺組織で作られます。おしっこは腎臓で血液を濾して作られていますが、唾液も血液から作られます。高血糖でおしっこに糖が出るように、唾液腺からも糖が漏れ出ています。唾液腺から糖が漏れるのに、他の腺組織からは漏れ出ないなんていうのは、ありえないような気がしますよね。
実際乳腺にブドウ糖が漏れ出ると、その糖が細菌の繁殖を招いて乳腺炎が起こる可能性がありますし、皮脂腺に漏れ出ればニキビとなるでしょう。膣分泌腺なら膣カンジダとなるかもしれません。
血液検査で1.5AGというのがありますが、これは血液中のブドウ糖の仲間の1.5AG(1.5アンヒドログルシトール)を測っています。これが低下する(正常値は20μg/dl以上)と、一日の中で血糖値が170mg/dlを超えている時間があるということを示します。当クリニックの予防歯科精密検査でも毎回測定していますが、血糖値が高くない人であっても、結構な割合で1.5AGが低値の人がいます。いわゆる「乱高下型低血糖症」なのでしょう。
食と全身は密接につながっています。原因不明と言われている疾患でも、意外と普段の食生活に起因していることもあるのです。僕自身、原因不明の難病と言われる潰瘍性大腸炎を、甘い物を一切断つことで完治させましたから。

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