縄文時代、ドングリは家畜のえさとされていた。

日本の縄文時代の遺跡からは、ドングリが良く見つかることが知られています。ドングリとはカシ、ナラ、カシワなどの堅果であり、通常は人間の食用にはなりません。というのもドングリにはタンニンが多く含まれ、食べると強烈に渋いからです。

そこで考古学者たちは、これらドングリは冷水に長期間さらしてアク抜きした上で、粉にしてパンみたいに焼いて食べていたのだろうと考えました。しかしこれには大きな疑問があります。

というのも、世界的にみてもドングリを食用とする文化は全く存在しないこと、また日本には古来から栗や栃の実、椎の実、クルミなど、アク抜きせずとも食べられる堅果もまた存在していました。縄文人は森林の樹木を選択的に選別したり、植生したりしていたことが分かっていますから、ドングリもまた、意図的に植えられていたに違いありません。そうであるならば、なぜ食用に向いている栗や栃の実、椎の実、クルミではなく、ドングリをたくさん植えたのでしょう?

その答えのヒントは松井章:著「環境考古学への招待」にありました。この本によれば、縄文遺跡で見つかる従来イノシシの骨とされていたものは、実は豚の骨であり、縄文時代に豚の飼育が行われていた可能性があるとのことでした。もし豚の飼育が行われていたのであれば、ドングリが多いのは頷けます。

というのも、イベリコ豚がドングリを食べて育つことから分かるように、豚はドングリが大好物です。いえ、豚だけではなく、熊やアナグマなどもまた、ドングリが大好き。縄文民族は狩猟民族でしたから、肉を主食にしていました。ドングリは豚やこれら野生動物のエサとするために植えられていたのだと考えるのが、より自然でしょう。

縄文人は稲作は行っていませんでしたが、豚の飼育などの食料生産を行っていて、高度な文明社会を築いていたものと思われます。残念ながら鉄器と青銅器を持った外来人の侵略によって、日本の先住民は農奴の身に落とされてしまいましたが、日本人は本来肉食であり、豚肉をこよなく愛していたのだと思うと、豚肉を見る目が変わりますよね。

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