【肥満 原因】体重を決めるものは何か?「摂取カロリーと消費カロリーの差」に根拠はない。

体重を決めるもの
体重を決定するのは摂取カロリーと消費カロリーの差であるというのは、特に根拠のない説であり、この説を広めたのは砂糖産業であるということは、僕の次の著書に詳しく書きたいと思います。とにかく摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことで痩せられるというのは、膨大な研究で否定されている事実です。
体重にはセットポイントがあり、その範囲で体重が安定するように、食欲と代謝が厳密に調整されているというのが、いわゆる「セットポイント理論」です。このセットポイントにインスリン抵抗性が深く関与しているであろうことは確かですが、両者は厳密には同一ではありません。
インスリン抵抗性には発症因子と増悪因子があり、これもまた同じとは限りません。糖質制限に関する誤解も、このあたりに起因していると思われます。
肥満は摂取カロリーと消費カロリーの差ではなく、ホルモンバランスの乱れによって起こることが知られるようになったのは、最近の内分泌学の発展によるところが大きいです。特に大きな転機となったのが、1950年代にロサリン・ヤローとS.A.バーソンによって開発された放射免疫測定法(ラジオイムノアッセイ)でしょう。これによってホルモンの働きが良く分かるようになりました。
肥満はホルモンバランスの乱れによって起こり、その中心要因はインスリンです。インスリンを投与すると、人でも動物でも肥満を起こすことが知られています。他にも糖質コルチコイドなども肥満を引き起こしますが、インスリンを介して肥満を促進することが分かっています。
インスリンの働きと、体重のセットポイントは密接に関係していますから、インスリン抵抗性もまた、体重決定に大きな影響を与えています。しかしながら、インスリン抵抗性が高いにもかかわらず、肥満ではない人がいることも事実です。
インスリン抵抗性が生じるメカニズムに関しては、まだ解明されていないところも大きく、今後の研究が待たれるところです。それでもセットポイント理論とインスリン抵抗性を理解することで、体重や体型を個々人の思い通りにコントロールできるようになります。僕も実践してみて、その効果を実感しています。
いずれにせよ、現状では巷に多くの嘘やまやかしが溢れていて、何が本当なのか分かりにくくなっています。それでも心ある人たちが真実を伝えようと頑張っていますから、そういう人たちを見つけ、その言葉に耳を傾け、納得し実践すれば、誰でも望み通りの体を手に入れることができるでしょう。ただし、胎生期にインスリン抵抗性が高まってしまった人が痩せられるかどうかは、現状のところかなり悲観的と言わざるを得ませんが。

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