歯科医師過剰問題:大学同様、底辺レベルの歯科医院は、歯科医師が過剰であろうがなかろうが、消え去る運命。健全な競争を阻害している最大要因が、日本の保険医療体制。

歯科医師過剰問題
結論から言ってしまえば、歯科医師過剰問題というのは、少なくともこの日本においては存在しません。存在しないものがさも存在するように語られていることに、僕は非常に違和感を覚えます。
歯科医師過剰問題というのが存在しないということを考えるうえで良い例として、大学を例に挙げましょう。現在の日本は少子高齢化が進行し、大学全入時代となったと言われています。大学全入とは、大学進学希望者の総数と、大学の学生募集人数が同じになったということ。志願者と定員が同じになったら、浪人生はいなくなったのでしょうか?いえ、いますよね。
日本の最高学府の頂点である東京大学を見てみましょう。進学希望者は、自分の学力の範囲内でなるべく良い大学に行きたいと考えています。そのために、家から遠くても、学費が高くても、東京都内の有名大学にはたくさん志願者が集まります。京都も同様でしょう。
でもその一方で、偏差値の低い私立大学を中心に、定員割れが相次いでいます。私立の歯科大学でもこういった現象がみられてます。こうした大学では、生き残りをかけて、海外からの留学生を積極的に受け入れたりしていますね。
少子高齢化で受験者数が少なくなって真っ先に影響を受けるのは、底辺の大学や短大、専門学校などであり、東大をはじめとした一流大学にとっては関係がありません。そして底辺レベルの大学などでは、受験者数に関係なく、志願者が集まらなければ潰れていくのです。
歯科医院だって同じです。その地域に存在する歯科医院と、潜在患者数が釣り合っていれば良いとか、潜在患者数より歯科医院が少なければ、一つの歯科医院にたくさん患者が来るとかいうものではありません。人気があったり評判の良い歯科医院には患者が集まり、そうでないところには患者が集まらないというだけです。
歯科医院は皆同じというわけではありません。歯科医院によって診療の質やレベルは大きく違います。何らかの理由でたくさん患者が集まる歯科医院もあれば、そうでもない歯科医院もあるというだけ。そして大学同様、底辺レベルの歯科医院は、歯科医師が過剰であろうがなかろうが、消え去る運命にあるということです。
歯科医師数が多くなれば、それだけ競争が激しくなり、淘汰される歯科医院も増えるでしょう。しかし競争が働かない世界では、知識や技術が停滞し、腐敗が進行していきます。適度な競争は健全な業界を維持するために必要なのです。
現在の日本の歯科医療業界にとって、問題なのは歯科医師過剰問題などではなく、健全な競争が働かないという構造問題なのです。そして健全な競争を阻害している最大要因が、日本の保険医療体制にあることに、疑いの余地はありません。

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