9月21日の日本時間5:09にバヌアツでM6.4の強い地震が発生したことにより、日本国内への波及に不安を抱く声が聞かれているようだ。いわゆる「バヌアツの法則」である。
「バヌアツの法則」とはバヌアツで強い地震が起きるとその後数日から2週間以内に日本でも大きな地震が発生するというもので、過去にはメディアが「バヌアツの法則」として記事に取り上げたこともあるほど有名なもの。
広く知られるようになったきっかけは2016年4月の平成28年熊本地震の10日ほど前となる4月3日と6日にそれぞれM6.9、更に7日にもM6.7がバヌアツで起きていた他、熊本本震の前日にもバヌアツでM6.4が発生していたことにある。
また他にも2007年3月25日の能登半島地震(M6.9)とほぼ同時のタイミングでバヌアツM7.1が起きていたことや、2011年8月22日に茨城県沖でM6.0が発生する2日前にM7.2、M6.5、M7.1とバヌアツで地震が続いた、という事例も記録されている。
こうした点に照らせばM6.4が日本での強い地震につながっていく可能性は否定できないようだが、今回は少し事情が異なっているようだ。
まず今回のM6.4は震源の深さが200kmと深かったが、2016年熊本の前と2007年能登半島地震の際にバヌアツで揺れていた地震の震源はいずれも20~30km台と浅かった。それからどちらのケースでもバヌアツでは複数回の強い地震が起きていたにも関わらず今回は今のところM6.4が1回にとどまっているためである。
では、今回の震源と条件の近い場所でバヌアツにおける地震が観測された際、その後日本で強い地震につながったケースはあったのだろうか。
今回のバヌアツ震源に近く深さ200km以上で発生していた地震とその後の日本国内におけるM6以上の地震発生状況が以下である。
日本では地震が多いため、月単位で見れば日本においてM6以上が起きる可能性は低くないことから相関関係は特に見られないと言って良いだろう。
とは言え2013年のように3日後に震度5強が起きていたケースもないわけではないことや、今回はニュージーランド、パプアニューギニアなど南太平洋方面で中規模クラスの地震が相次いでいる点と合わせて考えれば、気を抜いてよいということになるわけではもちろんない。
1953年07月02日 M7.2 - バヌアツ
1953年07月22日 M6.2 震度3 沖縄本島近海1970年04月20日 M6.6 - バヌアツ
1970年05月27日 M7.0 震度3 小笠原諸島西方沖
1970年05月28日 M6.0 震度3 三陸沖
1970年05月28日 M6.0 震度3 三陸沖1985年10月06日 M6.2 - バヌアツ
1985年11月09日 M6.2 震度3 小笠原諸島西方沖1986年03月06日 M6.1 - バヌアツ
1986年03月24日 M6.1 震度4 奄美大島近海
1986年04月16日 M6.2 震度2 北海道東方沖1994年02月12日 M6.9 - バヌアツ
1994年04月08日 M6.5 震度2 三陸沖
1994年04月11日 M6.2 震度1 沖縄本島南方沖2013年04月14日 M6.0 - バヌアツ
2013年04月17日 M6.2 震度5強 三宅島近海
2013年04月19日 M7.0 震度4 千島列島
2013年04月21日 M6.7 震度2 鳥島近海