睡眠は脳のためではない。一番エネルギーを使う胃腸を休めるためのものである。

身体の中で一番エネルギーを使うものは胃腸です。

現代社会では、脳、神経ばかり注目があつまりますが、より原始的な生物を考えると、脳よりも先に腸が誕生していることが知られています。

小食プラス十分な睡眠を心がけましょう。

自然医学を提唱する森下敬一氏のコラム【睡眠と血液】から一部抜粋して紹介します。

一般的には、脳細胞を休ませるために眠ると言われますが、それは間違い。眠りは、身体を休息させるためのものであり、中でも休息をもっとも必要とするのが胃腸である。と森下氏は展開します。

現代医学の常識とは全く異なりますが、生命原理から始まり「食物摂取、消化・吸収、血液循環、物質代謝」の一連の機能の中で捉える森下氏の“眠り”の捉え方には、大いに納得できます。

不眠に悩む人が増え、不眠症は現病病だと言われて随分たちますが、いっこうにこれはといった解決策が見つからないのは、現代医療の“眠り”の捉え方自体が根本的に間違っているからなのかもしれません。常識にとらわれず追求する必要があると思います。

以下、【睡眠と血液】から一部抜粋。
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<腸の疲れを癒すための眠り>

生命の科学という観点からみると、消化という働きは「食物の総合・発展の条件づけ」なのだ。

食物は、いわゆる消化作用といわれている処理をされることによって、より次元の高い「生命物質」に発展していく。

この生命物質が腸の粘膜にとりこまれて、こんどは赤血球という極めて原始的な細胞につくり変えられる。

この働きは、かつてこの地球上で行われてきた物質から生命への発展史の縮図である。原始地球時代には、無機質から有機質へ、有機質から蛋白質へ、そしてこの蛋白質の融合によって始原人生きる命が誕生したのだ。

この「物質発展と生命誕生の歴史」が、日々我々の腹の中でくりかえされているとは、なんと驚くべきことか。消化とは、そのようにダイナミックな働きなのである。

我々は何氣なく食物を摂っているけれど、腸ではこんな大事業が行なわれているのだ。疲労だってそれだけ大きくなる道理であろう。
実際、その疲れを癒すために、われわれは眠るのだ。

ふつう、睡眠は頭脳を休める時間である……と思われているが、本当はそうではない。頭脳はわれわれの身体の中でも、最もエネルギー消費の少ない臓器組織であるから、8時間も時間も休ませる必要はない。

<眠りと胃腸の休息>

眠りは、身体を休息させるためのものであるが、中でも休息をもっとも必要とするのが胃腸である。

一般には、脳細胞を休ませるために眠ると言われているけれど、脳のエネルギー消費はそれほど大きくはない。我々が一日中、頭をフルに働かせたとしても、脳が疲労困憊するということは決して起こらない。これに対して胃腸はいつも全力投球である。エネルギーの消費は最も大きい。

なぜなら単純な物質(食物)を、より複雑な物質(体蛋白)に合成・発展させるという大事業をおこなっているからだ。この働きがあるからこそ、我々は、我々の体とはまったく異なったつくりの食物を食べながら生きていられるわけだ。

胃腸は食物を消化液で分解し、単純な分子(アミノ酸、ブドウ糖など)にして吸収する、といった単純な作業をしているだけではないのである。というわけで胃腸は極度に疲労する。だから、胃腸は十分な休息をとらなければならないし、眠ることも必要となる。

しかし、睡眠中に胃腸の機能が完全にストップしてしまうわけではない。
疲労を癒すとともに、不要なものは排泄する手はずを整え、必要なエネルギーを貯える… というように、1日の活動の後始末をする。

この作業は、他の臓器の活動を中断、あるいは極力弱めた上でおこなわなければならない。このような生理機能の切り替えは、睡眠によってはじめて可能となる。

そして、胃腸の休息がとれれば、眠り足りた状態となり、自然と目覚めが起こるのである。あまり空腹だと寝つかれなかったり、食べてすぐ寝ると翌朝目覚めが悪かったりするのも、眠りと胃腸が密接に関係していることを物語っている。

ふつう、腹いっぱいものを食べると、約3時間の睡眠が必要となる。1日3食で、毎食腹いっぱい食べれば、睡眠は9時間はとらなければならない。加えて、間食をするようなことになれば、さらに胃腸の負担は大きくなり、その分だけ
睡眠時間は加算されることとなる。
 
また、肉、牛乳、卵などの動蛋食品を多くとると、胃腸の疲労度はますます高まる。もともと米菜魚食民族である我々日本人の胃腸には、動蛋食品は大きな負担となる。美食の過食をしている人は、10時間も12時間も眠らなければ、胃腸は十分な休息をとる事ができない。

夜十分に寝ているのに、通勤電車の中や仕事中に居眠りの出る人は、間違いなく食べ過ぎの人だ。胃腸を酷使していては、正常な眠りは決して得られないものなのである。

胃腸の働きと眠りとの間に、密接な関係があることは、
「腹の皮がつっぱれば、目の皮がたるむ」
という現象でもわかる。

これには、一時的に胃腸の方へ血液が集まる、また、精神的な満足感が生じる……など、いわゆる睡眠とは異なったいろいろな要素が関係してくる。

いずれにしても、我々の体では、胃腸での食物処理機能が、他の機能より優先的に働く事は確かだ。

だから食事量をぐっと控えれば、食後に眠くなったりせず、すぐ活動に移ることができる。ムダな時間をなくして、フルに活動したい人は、食事の量を少なくすることが必要だ。1食抜いて、1日2食にするのが理想的で、そうすれば睡眠は5~6時間で十分となる。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=329518

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